恋 彼らのお話

世界でいちばん　りょう1 ページ22

熊とタヌキのバカップル。

いつもほわほわんとしてて
デッカイ体寄せあってゲラゲラ笑い転げてる。
暇さえあれば、ふたりで歌ってるし
静かやなぁと思ったら
おんなじような寝相でソファで居眠りしてる。

前世とかそういうの信じてへんけど
コイツら見てると
よっぽど強い運命で結ばれてるんやなぁって
思ってしまう。

ええなぁ。
俺も混ぜてくれへんかなぁ。
めっちゃ楽しそうなんやもん。
さすがに一緒に寝たいとは思わんけど
マルのあのフニフニした体
アイツが独り占めしてると思うと
ちょっと悔しくなってしまう。

｢りょーお、考えてること顔に出てるで？｣
｢しょぉぉぉぉちゃぁん
やって、オークラおるから、マル遊んでくれへん｣

章ちゃんの前では素直になれるん。
でもマルにはよう言えへん。
特にオークラの前では絶対に言いたくない。

｢りょお、たまには素直にならんと｣
｢わかってる｣
｢ほな、がんばり｣

双子の兄ちゃんは俺の扱いが世界で2番目にうまい。

｢りょうちゃん｣
マルが俺の前にストンと座った。

｢なんやねん｣
｢りょうちゃん、最近いい映画あったぁ？｣

こいつはいつもそう。
俺がいじけてると、さりげなぁく側に来て
俺のご機嫌を直してくれる。

チラッと章ちゃんを見ると
にっこり笑って『素直になり』
口パクパクさせた。

オークラは章ちゃんとなんやお喋りしはじめたし
ええのかなぁと思いながらも
マルと最近見た映画やドラマの話ししとった。
俺の話しうんうんって頷いてくれて
りょうちゃんはよぉ見てはるねぇって誉めてまでくれる。
自分の夢とかこういうお芝居やってみたいって
話をマルも沢山してくれる。
そういうときのマルはホンマにかっこよくて男前。
もっともっとええ部分前に出してけばええのに。
俺はコイツの演技とか踊ってる時の世界観とか
ベース弾いてるときの真面目な顔とか
ホンマにホンマに好きなん。

あ。俺、結局マルのことが好きなんや。
なのに、マルは・・・
結局オークラんとこ行ってしまう。
ふにゃらぁんと甘ったるいマル。
俺の前では見せん顔、オークラには沢山見せるんや。

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