明日 (ページ4)

今日:30 hit、昨日:102 hit、合計:131,243 hit

幸福について　りゅう1 ページ4

｢お腹すいた～｣
｢なんか食わちてぇ｣

ピンポン連打に焦って出てみたら
モニターいっぱいに双子が顔寄せてはった。

｢はいはい、あがっといで｣

ロックはずしてキッチンへ戻る。

｢なんや、亮とヤスか？｣
｢おん。お腹すいたって｣
｢あぁ。やっぱりなぁ｣
｢ウチは小料理屋ちゃうで｣

もうええ案配に仕上がっとる人たちが何言うてはるの。
さっきから上のご夫婦が差し入れに持ってきた
ええとこの日本酒でご機嫌さんな3人。
キッチンでツマミこさえながら
俺は烏龍茶でお付き合い。

｢はい、持っていって｣

ちょうど焼き上がった餃子は
信ちゃんのご自慢の１品。
冷凍でストックしてあるからいつでも焼くだけ。
これだけは信ちゃんに敵わない。

｢はいはい｣

腰を上げたのは忠義。
パタパタとやってくる。

｢ええとこでりゅぅもこっちおいで｣
｢おん。章ちゃんたち来たから、も少しな｣
｢んふ。ええオクサンしてくれて嬉しぃわ｣

ぺろんとお尻撫でてお皿持っていく。

ちょうど蓮根さんのキンピラ作りおきがあるし
きゅうりとワカメも大丈夫。
酢の物こさえましょ。
さすがにタコまではないけど・・・。

｢信ちゃん、上にタコある？｣
とりあえず声かけてみる。

｢んー。タコはないなぁ｣
まぁ、そりゃそうよね。

ええか。ミョウガはあるしな。

｢亮おるんなら焼きそばなくてええんか？｣
｢唐揚げするつもりやったし、食べたいか聞いてからにするわ｣
｢するんなら上に材料あるで｣
｢ほーい。そんときはゆうちん頼むわ｣
｢なんで俺にゃねん｣

双子のヤンマーちゃん、過保護に育てられてるわ。
章ちゃんが座りやすいように
さりげなくクッション空けたり場所確保するゆうちん。

｢｢ただいまぁ｣｣

ガヤガヤドタドタ。

｢おかえりぃ。手ぇ洗ってきぃ｣
｢｢はぁい｣｣

実家か。
まぁ、似たようなもんか。

｢まるぅ。唐揚げ食べたい｣
｢んー。ちょうど揚げるとこやったで｣
｢これ、冷蔵庫入れといて｣
｢おぉ。梨かぁ。ええね、ありがと｣
｢亮、焼きそばはええんか？｣
｢食べたいっ｣
｢んじゃ、よかーまくん、材料持ってきて｣
｢にゃんでや。あ、ヤス、ほれクッション使い｣
｢おーん。ありがとぉ｣

ガヤガヤガヤガヤ。
ホンマ楽屋もウチも変わらんなぁ。

唐揚げにキンピラ。
酢の物に冷奴。
お揚げも焼いて薬味もたっぷり。
信ちゃんの餃子と焼きそば焼いて。
デザートに頂いた梨をお出ししよ。

本日も小料理屋『まる』は大にぎわい。
なんてね。