検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:158,817 hit

走れ ページ11

「りゅぅ、おいで」

ソファにちょこんと三角座りしてる
隆平の体を抱き寄せた。

「行ってまうんやな」

涙声。

もう何度も話し合って笑って送り出すって
みんなで決めたけれど。

いざ発表となるとやっぱり、な。

きっとよかーまくんも雛ちゃんもヤスも。
なによりも亮ちゃん本人が。
それぞれに思うところがあるはず。

「なぁ、今日入所記念日やって」
「そぉかぁ。初めて会うた日か」
「区切りにはちょうどええ日やな」
「亮ちゃんらしいな」
「ほんまやな」

顔をあげないまま、いつものようなふりして
喋り続ける隆平。
震えてるのを必死に隠そうとしてる。

「りゅぅ、泣き?」

その言葉にフッと顔をあげて
へにゃぁっと笑った。
目のなかがゆらゆらと揺れている。

「りょぉちゃんが、な」
「おん」
「おらんくなるなんて」
「おん」
「今頃、泣いてはるやろ」
「おん」
「ひとりで泣くやろ」

アホやなぁ、一緒に泣いたるのに。
そう言って隆平も泣いた。
俺も一緒に泣いた。

吐き出したいときは俺がおるから。
俺が吐き出したいときには隆平がおってくれるやろ。
俺らはひとりじゃない。
亮ちゃんもひとりじゃない。

そう簡単に切れる絆じゃない。
ただ今日は淋しさを分かち合おう。

思いっきり泣いたらまたすぐに歩きだそう。

俺たちが選んだ道も
亮ちゃんが選んだ道も
すば るくん選んだ道も
きっと平坦じゃない。

這いつくばって進んで
傷だらけで血まみれになったとしても。

俺たちは選んだ道をただ走るだけだから。

作者より→←作者より 追記あり



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (181 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
459人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

kkoyanagi(プロフ) - ずっーーーーーと冬でいて欲しい (2022年12月19日 12時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - kkoyanagiさん» 冬がくると書きたくなるみたい笑 (2022年12月19日 10時) (レス) id: ebdbe7a05a (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - あーちゃんさん» ひさしぶりに書いてみました。いろいろあったけど元気でやってるみたいです (2022年12月19日 10時) (レス) id: ebdbe7a05a (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - ヤッホー!!昨日「ニコイチ」まで読み返してた所だったのでめっちゃ嬉しいです。 (2022年12月19日 8時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - あぁ たつとりゅう⋯ (2022年12月18日 1時) (レス) @page49 id: 48bf44c3b2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:cayochi    | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年8月17日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。