明日

ペペロンチーノ・バースデー　りゅう ページ41

「ただいま」

生放送終わりで家に帰ると
キッチンからええ匂い。

「おかえり」

まだ寝てると思ってたのに。
忠義がひょっこり顔を出した。

「早かったなぁ」
「やって反省会も打ち合わせも後でリモートやもん」
「収録も自宅からでええのになぁ」
「他の方たちの都合もあるからしゃーないわ」

手をよくwashして嗽もガラガラ。
ぱぱっと着ていた服を洗濯機に放り込む。

「そー言えば、ドアにかかってたで」
「ん？なに？」
「そこ。バックと一緒に置いてあるやつ」

お高いスーパーの紙袋。
上のご夫婦からのプレゼント。

「わーい、チーズやぁ」
「お！なにぃ？こっちは生まれ年のデザートワイン！」

忠義の嬉しそうな声。
末っ子はいつまでたっても甘やかされてる。

「シャワー浴びちゃうなぁ」
「おん。昼飯できるからチャッチャとな」
「はーい」

ささっと体流して
ついでに・・・まぁ、これも一応。
STAY HOME。
ふたりきりで過ごす時間には必要不可欠のマナー。

今日は特に。

バスルームから出ると脱衣所に
忠義が着替え持ってきてくれたとこやった。

「んふ。さっぱりさんやな」
「すっきりしたわぁ」

「お疲れさん」

ちゅっ、と裸のまま
おかえりとただいまのキス。

細心の注意。
しっかり予防して、交わる。
万が一を考えたら、当然。

ちゅっ、ちゅっ、ちゅ
繰り返すキス。
次第に深くなって忠義の指が俺の胸を滑る。

「んっ、、た、ぁ、」
「りゅぅ、、かわいぃんやもの。
待ってんの、しんどかったわ」

カリっと突起引っ掛かれたところで

ピピピピピピピ・・・・
キッチンタイマーの音が鳴った。

「あ！アカンっ！鍋！」

パッと体が離れて、忠義が慌ててキッチンへ戻る。
俺は火照った体、パンツに閉じ込めた。

鼻歌歌いながらキッチンに立つ忠義は
毎日見てるのに、見惚れるほどいい顔してる。
どうやらパスタが茹で上がったみたい。
ニンニクの香ばしい匂いにつられて
マンガみたいにお腹がなった。

「もう出来上がるで」
「はぁい」

急かされてテーブルにつくと
ペペロンチーノと冷えたビール。
今日はこのあと予定は入れないでもらってある。

「キスの予定があっても
同じもん食べてれば気にならんやろ？」

にんまりと笑う忠義は策士の顔。

「ごめんな、ホンマは俺が作りたかったのに」
「ええねん、お仕事なんやし」

ふたりで両手合わして声を合わせた。

お祝いはパスタの後で。
ニンニクの匂いのハッピーバースデー。

作者より→←オレンジ・ディ　りゅう

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