恋 彼らのお話3

春色　きみたか5 ページ5

｢ええパーティやったな｣
｢おん。お二人のお人柄や｣

ホテルの部屋。
ジャケットをハンガーにかけながら信五が微笑む。

｢なぁ、俺らもやるか？｣
｢何を？｣
｢結婚式。やりたいんやないか？｣
｢きみは？やりたいん？｣
｢やってもええかなぁ、とは思った｣
｢そぉか。でも・・・｣
｢でもって何や？｣
｢やるならアイツが帰ってきてからにしよ｣
｢せやな｣

アイツ抜きではできん。
そりゃそうか。
信五らしい拘りが俺も嬉しい。

おいで。
ネクタイとカフスを外して寛ぐ信五を抱き寄せる。

脱がしたい。
早く触れたい。

今日『併せ』をしたことで
少なくとも事務所連中からは手ぇ出されんようになったけど
隙あらばってヤツはまだおるはずやねん。
閉じ込めて隠してしまいたい。
まぁ、そんなことせんでも信五は俺しか見とらん。
絶対的な信頼と自信。
俺らは揺るがない気持ちでお互いを思いあってる。

触れるだけのキスをしながら
お互いのボタンを外す。
はだけた胸に触れると甘い息が漏れる。
胸の突起をカリっと引っ掻けば

｢んっ。あっ｣

溢れる息の濃度が上がる。

｢きみぃ、今日ヤバイ｣
｢俺も｣

起ち上がったお互いのものが服越しに擦れる。
それだけで達してしまいそうで
自分達の幼さに苦笑いが込み上げる。

｢支度してくるわ｣
不意に信五が離れて立ち上がると
シャツをはだけさせたまま
シャワーを浴びに行ってしまった。

男同士のめんどくさい手順。
繋がるのに必要なものを
バッグのなかから枕の下へ移動しておく。
最初のうちはここで醒めてしまうのが嫌だった。
でも今は少し焦れてる時間が結構好きや。
熱くなってすっ飛ばしたくなることもあるけれど
俺よりも信五の体に負担をかけたくない。
何よりもシャンプーのかおりと
暖まった信五は極上のご馳走やと気づいたから。

ホコホコになった信五が戻ってきたのと入れ違いに
俺もシャワーを浴びに行く。
カタンと脱衣所で音がした。
きっと信五が俺の服を取りにきた音。

きっと戻ったらキレイに掛けてあるはず。
代わりにホテルのガウンが置いてあるはず。

気の効くええ嫁。
可愛らしくてイヤらしい。
俺の信五。

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