HONEY HOLiC

Darling 16 ページ16

｢やだな。そんなにびっくりしないでくださいよ。｣



そりゃ驚くよ！


あなたの話をしてたんだから！……なんて口が裂けても言えなくて


スヨンちゃんはそんなあたしを見て、ぜんぶ理解したみたい



｢ジニちゃんはどうしてここに？｣

｢オーナーに頼まれてお店に飾るクリスマス用のリースを買いに来たんです。｣


ジニちゃんが紙袋を持ち上げて笑うその顔は、やっぱり可愛い



｢もしかして…モデルのスヨンさんですか？｣

｢はい。｣



スヨンちゃんに気がついたジニちゃんが、わぁっとはしゃいで握手を求めた


背が高く線の細い美人なスヨンちゃんと、アイドル顔負けの容姿とスタイルのジニちゃん


顔も体型も、何もかも平均なあたし


なにこれ、まるで公開処刑じゃんか！！



｢ジヨンさんがスタイリングした雑誌も観ました。｣

｢ありがとうございます。｣

｢あたしジヨンさんを尊敬してるんです。いつかあんなふうなスタイリングが出来たらいいなって。｣



ジヨンが褒められるのは、嫌じゃない


嬉しいよ？



だけど………



｢毎日ジヨンさんに遅くまで練習付き合ってもらってすみません。｣

｢……うん。｣



ジニちゃんに謝られると複雑な気持ち



笑えてるかな

引きつってないかな



なんて気にしながら、ふと目が合ったジニちゃん



向けられた、ジニちゃんの笑顔はちょっと意味ありげで




｢ジヨンさんあたしにすごく優しくしてくれるんです。｣




あたし……何の話聞いてるんだっけ？




嬉しそうに話し続けるジニちゃん



なんて言って欲しいの？

何が言いたいの？



手をぎゅっと閉じたら、自分の鼓動が早くなるのを感じた



｢そうね。ジヨンって意外と優しいの。誰にでも優しくする。｣



隣で黙って聞いていたスヨンちゃんが口を開いた



｢それなのに好きな子には意地悪して。器用なんだか不器用なんだか。その特別扱いを受けるのはAちゃんだけなの。｣

｢……っ、｣


ジニちゃんの顔が、スヨンちゃんの言葉でみるみる曇って



｢…お店に戻らなきゃ…失礼します。｣



唇を噛み締めて、大きな瞳が揺れ動いてた






｢あの子なんか手強そうだね。｣

｢……｣

｢ちょっと意地悪しすぎたかな？｣

｢かな？｣

｢でも本当のことだし。ジヨンにとってAちゃん以外の特別はいないと思う。｣


悪びれるふうでもなく、笑うスヨンちゃんがぽんっとあたしの肩を軽く叩くその手の温もりに


ようやくあたしも笑い返すことが出来た

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