悪役令嬢、悪役辞めます

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一人首を捻っていると、私の手に手をかざして治癒魔法をかけている先生も首を捻った。

あ、忘れてた。

私治癒魔法効かないじゃん。

し「あれ、僕のヒールが弾かれる。」

『…すみません。ちょっとした事情で、ヒール効かないんです。』

チ、し「え！？」

二人が驚いた声を出した後で口々に説明を求めてきたので、私は仕方なく魔法が効かないことを話した。

二人は納得したようなしていないような声を出したが、それ以上は何も言わなかった。

しんぺい先生にいたっては、ガーゼを当てて包帯を巻いてくれた。

し「これで、当分は大丈夫。数日は塞がらないから、包帯を変えるために数日はここに来てね。」

チ「良かったぁ……。」

しんぺい先生に治療してもらったら、なぜかチーノが安堵の声を出す。

『失礼ですが、ガオナァ様。なぜ私を率先して治癒室に運んでくださったのでしょう？』

そう聞けば、チーノは苦笑いをして答えた。

チ「いやぁ、俺誰かが怪我しとんがトラウマでなぁ。つい行動してしまうんや。」

『……なるほど。』

分かったような、分からないような。

本編では、そんなトラウマになるような過去は明かされていなかったはず。

公開予定だった裏設定に、それがあったのだろうか？

だとしたら口惜しい……。

なんて一人また考え込んでいたらチーノが覗き込んできた。

『わっ、』

チ「顔色は悪ないな、もう戻れるか？」

『あ、はい。』

チ「ならええわ、帰ろーや。」

そう言って手を差し出してくるチーノ。


私はその手を取って、しんぺい先生にお礼を言った後で治癒室を後にした。

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