山猫に一目惚れ其ノ肆 (ページ1)

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隠蔽ページ1

「それで、これ以上話が進まなくなるのは面倒なので一気に申し上げますと･･･尾形百之助は噂通り、本当に母親を幼いながらに殺害したのか？もしそうならば、花沢中将殿に捨てられ、気狂いになった母親をこれ以上苦しめたくない、楽にさせてやりたい･･･だからだったのか？それとも、その複雑な家庭事情による、周囲からの反感に耐えかねて、そのうちの誰かを殺害してしまったのか？そもそも、それらとは全く関係ない別な事情で何者かを殺害したのか？────────そこまでは私にも分かりません。ですが、先程結論付けたようにあの目は『人殺しの目』。確実に殺人を行っている。｣

｢ま、まあ･･･｣

｢物的証拠も何も無いが、絶対そうだよな･･･｣

｢ですから、その『噂』についても含め、その殺人に関する真実を尾形百之助自身に、我々が直接聞いてはいかがでしょうか？｣

｢え？｣

｢な、なんでそんなことをする必要が？｣

2人は鶴見の魂胆がまるで分からず、首をかしげるしかなかった。

｢だ、だいたい、本人がそんな罪を認めるような自供するわけないだろ･･･｣

｢仮にそれを尾形百之助が認めたとして･･･今後の彼の処遇はどうするつもりだ？今からでも尊属殺人の罪で、監獄にぶち込むのか？母親殺しという名の尊属殺人でなくとも、殺人に対する重罪は免れないぞ！｣

｢まずは、ひとつめについてですが──────我々の長年培ってきた知識と経験で、彼から上手く話を聞き出すのです。事実を全て洗いざらい話してもらうのです。もっとも、私ひとりでもその役は十分過ぎるほどですが、一応あなた方にもその際に同席していただきたい。私ひとりでは寂しくて死んでしまうので。｣

｢ねえ。少しは余計な一言を減らす努力をみせたらどうだ？｣

｢てか、お前死神なんだから死なんだろ。｣

｢｢不死身の鶴見･･･うん、絶対串団子野郎よりピッタリ･･･｣｣

淀川と和田は、自分らがいったことに心底頷いた。

｢まあ、確かに鶴見少尉がいれば、そういった、非道徳的なことも本人から聞き出せるだろう。｣

｢それで、本当に殺人をしていたら尾形百之助を軍から追い出すのか？｣

｢いや、しません。全ての事実を一つも残さずに我々で隠蔽しましょう。何事もなかったように、ね。｣

｢｢は？｣｣

鶴見がとんでもない陰謀計画をサラリといってのけたので、2人は思わず煽るように聞き返した。