山猫に一目惚れ (ページ6)

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決心ページ6

(それに、軍の一部の人間は、彼をよく思ってないようだし･･････)

その時、何故か花沢勇作が入隊時に話していたことを思い出す。私との数少ない会話だ。

『まさか、藤宮さんと同じ連隊だとは･･････とても心強いです！そうえば、私とは腹違いの兄様もここにいるんですよ。早く会いたいなぁ〜。』

花沢勇作の腹違いの兄･･････それは、Aの想う彼だという、全く根拠はないがどこからともなくやってくる、謎の確信があった。

(だって、凄く花沢中将に似ているし･･･そうえば、花沢中将には妾の子がいるって噂あったし、それが彼なのかも･･･)

Aはそう考えた途端、それがあたかも事実なのかのように、それが胸にストンっと落ちた。なぜか、とてもしっくり来た。

(もし、本当にそうだったら･･･彼の家庭事情はかなり複雑。ただでさえ、それによく思っていない人間がいるのに、私の噂が広まったら、更に彼を苦しめるだけ･･････)

Aは決めた。とりあえず、この気持ちは胸に閉まっておこう。
そして、何事もなかったように平常心を保つのだ。

しかし、それはすぐに無理だったとあとから悟るのだった。

コンコンと唐突に執務室の扉が鳴る。
まだ、決心をして数分しか経っていない。なんだこの絶妙なタイミングは！！とAは思った。

あれから、平常心を保てているかと言えば些か微妙である。誰かと対面して、妙な態度を取り不審がられなければよいのだが･･････。

(まぁ、用と言っても、部下の簡単な報告くらいだよね。)

しかし、その甘い考えは次の瞬間に打ち消される。