覚醒 ページ42
｢───み──し─｣
｢ん───誰？･･･ここは？あ、そうだ私倒れて･･･は！｣
Aは現在、兵舎の医務室にいた。どうやら、倒れた後に誰かが運んだようだ。そこで、意識を失う前の尾形との会話を思い出し思わず赤面した。
｢藤宮少尉。やっと起きたか。急に倒れたと聞いて心配したぞ。｣
｢つ、鶴見少尉?!どうしてここに?!｣
ベッド脇にいた思わぬ人物に声をかけられ、Aは少し動揺した。
｢今、気づいたか･･･私がここにいるのは、尾形一等卒に頼まれたから、とでもいおうかな。彼がここまで君を運んできたのだよ。｣
｢そ、そうだったんですか･･･！｣
尾形が助けてくれたことにAは心中で感謝し、赤面した顔を更に綻ばせた。そんな、私を見た鶴見は、まるで、親が子を見守るような暖かい眼差しで見つめた。
｢──？｣
Aはそれに首を傾げると、鶴見は次の瞬間こう言い放った。
｢藤宮少尉は尾形一等卒のこと好きなのだろう？｣
｢ヘッ？！｣
Aは、なんの前触れもなく、事実を言い当てられ、ビクッと動揺する。
｢そんなに動揺するとは･･･図星か、藤宮少尉！｣
｢あ、いや、えっと｣
(認めたら弱みに付け込まれててしまう･･･!!)
｢この間のように無意味な言い訳はさせないぞ。君と2人でゆっくり話したかったが、あれ以来、君に避けられてるような気がしてね。中々会えずにいたのだ。だから、こうして話す機会が出来て嬉しいぞ藤宮少尉？｣
｢はは･･･その説はす、すみませんでした汗 私も鶴見少尉とお、お話できて嬉しいデス･･･｣
鶴見のいうこの間というのは、Aが尾形に一目惚れした直後の尋問のことだとAは思いながら、鶴見にたどたどしく言葉を返す。ここまで、早口に捲し立てるようにいわれれば、もはや、Aにしらを切る余地はなかった。
｢ふむ。では、改めて問おう。藤宮A少尉は、尾形百之助一等卒のことが好きなんだな？｣
｢はい！好きです･･･！｣
Aは、医務室に鶴見と自分しかいないことを確認しながら、顔を茹でダコのように真っ赤にしながらいった。
それに鶴見は満足そうに微笑んだ。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年11月20日 21時
