運命 ページ37
｢あ、ああ、それは･･･｣
｢まあ、な、なんでしょね･･･｣
｢答えられないのか？｣
歯切れ悪くする双子に、尾形は威圧的に問い詰める。
｢はは、えーと、うーんと｣
｢いいから答えろよ。｣
｢えっ と･･･それは･･･｣
｢おい、お前ら。自由時間とはいえうるさいぞ。｣
そこで、風呂上がりで体から湯気がたっている月島が廊下から大部屋を覗き、尾形と双子を注意する。
｢ああ、月島伍長！助けてください！｣
｢どうした二階堂？｣
｢実は、尾形一等卒にその、せ、迫まられて･･･｣
｢お、おかされそうに･･･｣
｢は？｣
尾形は想像以上の言葉に思わず双子を睨みつける。
｢確かに、尾形ならやりかねんな･･･｣
｢月島伍長。これは二階堂たちの戯言ですよ。｣
尾形はあらぬ誤解を解こうと月島にいう。
｢双子プレイとかいってきました。｣
｢怖かったです･･･｣
｢───確かに尾形がいいそうな台詞だ。｣
月島は真面目な顔で納得する。
｢お、おい冗談はよせよ･･･｣
｢ｸﾞｽｯ。あ、あれ涙が･･･｣
｢月島伍長来て安心したのかな･･･ｸﾞｽｯ｣
｢ 泣かせるほどお前は──!!おい、尾形。ちょっと付き合ってもらおうか。｣
｢いや、だから俺は･･･｣
｢上官命令だ！早くしろ！｣
そういって、月島は尾形を無理矢理大部屋から引きずり出した。
｢ちょっとやりすぎたか？｣
｢まあ、クソ尾形だから大丈夫だろ。｣
｢そうだな。だって、クソ尾形だもんな。｣
そういって、2人は大部屋で笑いあった。
恋を成就させるのが『2人』の一番の幸せ･･･それは、2人が尾形とAが両想いだと知っているからこそ、いえるものであった。だが、きっかけは作れど、その事実を本人たちにいうのはとんだお門違いである。それは、尾形とAのためにはならない。それは、自分たちで気づいてこそ意味があるものだからだ。
｢そうえば、藤宮少尉も尾形一等卒もきっかけは、あの射撃場だっていっていたな･･･｣
｢ああ。しかも、どちらも顔を合わせた瞬間･･･こりゃもう、運命だぜ！｣
｢はは、そうだな！お似合いの2人だぜ。｣
｢こりゃ、ますますくっついてもらわないとな！｣
｢ふー。あとは寝るだけだ〜！｣
｢ああ、二階堂！甘味処に行ったなんてずるいぞ！｣
｢お土産ないのか？！｣
そうこういっているうちに同室の兵士が来たので、この話はお開きになったのだった。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年11月20日 21時
