山猫に一目惚れ (ページ2)

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憧れページ2

私は昔から、上品な淑女とはかけ離れた、時代に反したお転婆娘だった。よく、お稽古とかすっぽかして近所の悪ガキと遊んでいたのが懐かしい。その度に、両親にこっぴどく叱られたっけ。

だから、喧嘩はそこらの男子より滅法強かった。町のゴロツキをほぼ1人で一掃したときは、流石に父も驚いていた。
その回あってか、陸軍入隊を父に許されたときは、感謝してもしきれない思いだった。小さい頃から憧れの父と同じ、陸軍に所属することが出来るのだから。母は、ショックで暫く寝込んでいたけど(笑)

そんな生活を送っていたせいか、恋なんて1度もしたこと無かった。それは、本来は女人禁制の軍隊に特例で配属された今も同じだ。まだ、配属されて日が浅いとはいえ、どの男をみても、仲間以上には見ることはできなかった。(1人だけ、妙な感覚に襲われる同じ階級の人間はいたが･･･あれは多分違う。)

周りの女子は、少なからず恋をしたり、見合い相手に想いを馳せたり、はたまた駆け落ちしたりと色恋に花を咲かせている。
自分もいつか、どうしようもないくらい好きな人ができたらいいなぁとは思うが、こんなお転婆娘に好かれてもその男は困るだけだろう。
それに、父はもっと軍での地位を上げたいようだから、私がいずれする結婚もそれに利用するはずだ。
どうせ好きになっても、結ばれないなら意味が無い。ただ、苦しいだけだ。家族も生活も地位も全て捨てて、駆け落ちする勇気も覚悟も今の私にはないし。

ならば、せいぜい憧れの軍隊での生活を、来たる結婚のときまで謳歌すればよいと吹っ切ることが出来れば良いが、そうもいかず。

そもそも、憧れの軍隊に入ったものの、階級は少尉。いわゆる将校だ。実践では、先陣切って戦う兵士ではなく、その兵士たちを指揮する側だ。私は、前者の方が性に合っているのだが。とはいえ、父の立場もあるため、二等卒からなどともいえず･･･。

なんだかんだいって、親が敷いたレールの上をただただ歩いてる自分に情けなくなった。だからって、今更何かを変えようとも思えない。これからもずっとそうだろう･･････そう思っていた。

あなたに会うまでは。