天文十六年、秋 ページ34
Aは竹千代のいる寺に通い詰め、共に稽古をし学問を学び、多くのものを分けあった。
その様子を見てそんなに熱心に何を、と興味を持った信長も時たま顔を出すようになった。
『竹千代。この書には、年長のものを敬うようにと書かれているんだ。…私は年長だから、君は私を敬わなくてはいけないよ？』
徳「…Aは、としうえのようにおもえませぬ」
『相変わらずひどいー！』
織「はぁ…うつけめ。
長幼の序…その理で行けば、儂が一番偉かろう！」
『若殿様が一番偉いのは当たり前ですよぉ…
ほら、竹千代。私はいずれ若殿様にお仕えするんだ。君も共にお支えするんだよ？』
徳「それは………」
織「まったく。貴様等はまだ童なのだから、そう堅苦しく考えずともよい。…
どうせ、儂は尾張を継げんさ。
…A。竹千代。
貴様等がどうであろうと、我らが友であることには変わりないのだ。いつも言っておろう。」
『むー、若殿様以上に領主にふさわしい方などいらっしゃらないのにー。
…あ、そっか。竹千代も三河を継ぐのか。
………じゃあ、竹千代。絶対に裏切っちゃだめだからね？』
下手を取れば脅迫とも見れる圧に信長は苦言を呈そうとするが、それでも竹千代は揺らがずただ一言答えた。
徳「千代はなにも、できませぬ」
織「で、あるか」
『えらいえらい！もう、かーわいーなぁ！』
と二人はその返答が気に入ったようで、満足そうに笑った。
『…若殿様も竹千代も、いずれは継いで所領を持つようになるのか………
私も、いつか父上のような城持ち大名になりたいな…』
織「貴様には千年はやいわ」
『若殿様にお仕えするのですから、それでも足りぬのですよ！きっと領も禄もアホの兄共にぜ〜んぶ取られて私には残らぬのでしょうし。
可成殿も柴田の親父殿も丹羽殿も前田殿も、みーんな領を持ってるのに私だけなーんにも持ってないんですよ？？』
徳「…千代も、つげるかはわかりませぬ」
『…心配ないよ。君はきっと三河を上手く治められるから。
あ、私のためにほんのちょっぴり領地をくれてもいいのですよ？』
織「…はぁ。まったく。
貴様はその書から何を学んでおったのだ」
『…儒学や諸子百家の思想は君主に対してのものでしょう？私はただの臣下ですし…
それにこれ、なんか説教じみてて…』
織「うつけが…」
『これには人としての心得が書かれていますが、…それはこの乱世になんの意味を持ちましょうか』
織「…なればこそ、学ぶのだ。
この戦乱の世を終わらせるために」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
オタくん(プロフ) - 凄くおもろいです！更新楽しみにしてます！ (8月7日 20時) (
レス) @page49 id: 487a14ebf8 (このIDを非表示/違反報告)
みずのえ(プロフ) - ありがとうございます〜頑張りますね、！ (2022年10月27日 23時) (レス) id: 07361828e7 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - すごく面白いです！更新楽しみにしています！！ (2022年10月26日 0時) (レス) @page29 id: 06fabb07b9 (このIDを非表示/違反報告)
みずのえ(プロフ) - …かもです…本編の性格と大幅に変えてしまっているかもで本当に申し訳ないです… (2022年10月24日 7時) (レス) id: 07361828e7 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - ヤンデレ来たかこれ？ (2022年10月20日 19時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みずのえ | 作成日時：2022年10月13日 22時
