ただ、未来を

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「皆さん、公認旗印が出ました」
翌日、またしても旗印が提出された。
旗印が発表されても皆の反応は薄いが、…きっと今回も豊臣くんの旗だと思っているのだろう。
けれど。今回はたぶん豊臣くんではない。彼は昨日の時点でもうリスクを負う必要がなくなっているのだから。
なら、これは…
「旗印提出者は、特進クラスの加藤清正くん。
加藤くんが出した旗印はこちらです」
魔村さんの言葉で画面が切り替わり、加藤くんと彼の旗印が映った。

【3時間以内に豊臣秀吉をケンカで倒す】

予想外の名前に皆は驚いるけれど、…まぁ、妥当でしょう…
彼はサルの部下でもあるけれど、正義感が強く頑固で腕っぷしも強い。自分の腕に自負を持っているぶん、豊臣くんを自分で測ろうと思ったのでしょう。

豊「喧嘩…」
秀吉くんがボソリと呟いた声が聞こえて顔を上げれば、強ばった表情の秀吉くんと目が合った。

「加藤は信じなかったんだな、秀吉が強いって話を」
「秀吉が強ぇか弱ぇかなんて関係なかくさ」

秘「なお、同じ旗印が出ました。合計、56本」

！いつかの旗印戦と同じ状況に皆が井伊くんを見たが、彼は飄々とした態度で「残念ながら、今回は俺じゃねぇ」と言った。
「井伊くんではない？」
「調子に乗った猿に、みんな鬱憤が溜まってんだろうよ」
『…やっぱり…』
昨日のアレは、あまりにもやりすぎた。
一戦だけであれば思惑通りに進んだかもしれないけれど…アレでは強さの誇示ではなく、ただのいじめのようになってしまっていた。必ず勝つ勝負で相手を叩きのめして自分の利を示すのは、あまり褒められたことではありません。

「たったの56本でゴミ共はここまで騒ぐか。
まあ、56も205も変わらんがなあ」
そう言って立ち上がると、こちらを一瞥してから徳川くんは教室から出ていった。
…意味ありげな視線を向けられても、全く持って何もわからないのですが。ただただビビるのでやめていただきたいのですが。

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