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「お前は誰だ。」

「…私はA。私はあなたの力を借りに来た」


狼の悪魔は部屋の奥にいるようで奥は暗くて何も見えない。


「帰れ。」

「いやだ。力を貸してほしい。」

「…なぜ私の力を欲する。」

「…幸せになりたいから。この世界を私が幸せだと感じられる世界にしたい。」

「くだらんな。」

「くだらなくていい。あなたが力を貸してくれるなら私は何でもする。」


そういうと、狼の悪魔は黙り込んだ。この会話をマキマちゃんに聞かれているのだろうか。

いや今はそんな関係ない、狼の悪魔に集中するべきだ。


「…私の力を貸す代わりに、近い未来お前から大切な人を奪うことになる。それでもいいなら契約しよう。」

「大切な人…うん。いいよ。私に大切な人はいないから」

「…契約成立だな。『ウルフ』と呼んでくれればともに戦おう。」


そういうと、奥の方から狼の悪魔がやってきて私を見上げた。


「これからよろしく頼む。A」

「こちらこそよろしく。」


狼の悪魔の頭を撫でて私は部屋を出た。


「どう?契約できた?」

「一応…」

「よかったね。代償は?」

「近い未来大切な人を奪うって、どうせ大切な人はいないからいいんだけど。」

「気づいていないだけで、本当はいるのかもしれないね。いなかったらAちゃんはもう既に死んでるからね」


マキマちゃんにそう言われ、私は黙り込んでしまった。契約内容も代償もすべて聞いていたくせに、どうしてそんな質問をするんだ。

それにしても、私の大切な人…いったい誰なのか。わからないことほど恐ろしいものはない。私が気づかない内に死んでしまったら?狼は近い未来としか言ってなかった。

近いとは、数年後、半年後、半月後、はたまた明日か。

私のせいで誰かが知らない内に死んでしまうかもしれない。でも私が知らない間に死んでいるのなら死んだことにすら気づかないのでは?

なら、別にいいか。気づかないフリをすればいい。

そう思うと心がすっと軽くなった。うん、誰かに変人と言われた経験はないが自覚はある自分は人よりもすごく変だと。

冷たい性格をしていることは私しか知らない。私だけの秘密。それはこの世界でも誰にも言わない。

誰かに勘づかれたらその時は素直に認めよう。まあ、そんなことはないと思うけど。

マキマちゃんと一緒に執務室に戻って少しすると、アキとデンジが帰ってきた。


「帰ってきたね。」

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- 救済…!天使くんやパワーちゃん、ガルくんが死なないと…!?ありがとーございます…! (2023年2月2日 19時) (レス) id: 16f178a420 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - ゆなさん» わわわ!そんなとんでもない笑待たせてしまうかもしれないですけど気ままに更新していきますー (2023年1月18日 22時) (レス) id: 9e20368090 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - めちゃ面白い。続きまってます!! (2023年1月11日 21時) (レス) @page41 id: 6539e90d25 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - ユメさん» ご め ん な さ い。外したと思ってたらついてました。今度こそ外したので!! (2022年12月2日 18時) (レス) id: 9e20368090 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - お り ふ らついてますよ (2022年12月2日 6時) (レス) id: 5e9fc6e37a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうひ | 作成日時:2022年11月22日 23時

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