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私は知っている。
「………出てって」
ラウが「好きだよ」と呟いて、寝ている私にキスをしたことを。
1度じゃなかった。
だからどんなにラウが距離を詰めてきても
今度は私がぶっきらぼうな態度と言葉でラウを遠ざけるようになった。
ラウの背を押して家から放り出すと、私は大きなため息を吐いて翔太さんを想った。
明日あそこに行けば彼に会える。
だけど
ラウに言われた言葉がいつまでも胸に刺さって抜けないまま、あっという間に約束の時間になってしまった。
なのに
待てども待てども翔太さんは来なかった。
何度も水割りをおかわりした。
どれくらいの時間が経ったかも知りたくなかった。
やがて視界が霞んできて
ああ、私やっぱり捨てられたんだと思って泣いていた。
カウンターに突っ伏して声を殺して泣いていると
迎えにきたのは翔太さんではなく
「………ほら、帰るよ。姉さん」
何があっても私を見捨てない、
「強くもないくせに無理しちゃってさあ」
「うるはい…らう、……おろしてえ」
「お断りだね。死んでも離すもんか」
「……なまいき。らうのくせに」
「だって俺がお持ち帰りしてるんだから俺の自由でしょう？」。
そんな風に呟くラウの顔はおぶられてるせいで見えない。
でもきっと素敵に微笑んでいると想像するに難くなかった。
家に着いた途端にベッドに直行され、
優しく降ろしたかと思えば大きな身体が私の上に
馬乗りになって、もう無遠慮にキスをした。
「…んっ、ゃ、…んんっ、！」
「……姉さん声えっろ、」
「…何やってんのらうっ」
「何って……襲ってるよ？いいでしょ、もう」
「俺は我慢したよ。偉いねって褒めてくれてもいいんじゃない？」。
にこり、笑うと顔色を変えて唇を塞ぎにくる。
押し返すこともできなかった。
……拒むことも。
翔太さんを失ってぽっかり空いた穴を埋めるように
ラウが私の中に無理矢理押し入ってきて
「…ああ、幸せだよ、姉さん」と囁いて泣いたものだから。
「ごめんね。貴女の幸せを願えないダメな
家に警察が来てラウが連れていかれたのは数日後。
あの日彼が来なかったのは
ラウが彼に制裁を加えたせいだと聞いて
私は弟の思いやりに少しだけ心が満たされた。
End
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ありす - 全部凄く面白かったです！ドロドロ感が最高です！！特に奇術師の愛の地獄がぶっ飛んでいて好きです！！いつも楽しく読ませていただいております！！続き読めたら読みたいです！！いつも楽しい作品をありがとうございます🙇♀️ (7月31日 1時) (
レス) @page50 id: b62757b173 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ゆきさん» ゆき様心躍るコメントを有難うございます😭♡そんな風に言って貰えれば嬉しいなと思って書いていたのです！私自身こんなお話が好みでどうもダークめにしがちなのですが、その部分を共感して頂けているようですごく有難いです。心から感謝です😭♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様、お待ちしておりました（笑）とんでもない、ただのカタストロフィなんです😭(?) 3つも挙げて頂けて歓喜です！いつかユッピン様にドロドロが好きでと言って頂けてからこの路線で書いていくことに自分でもハマれました。本当にありがとうございます！♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - みりぽんさん» みりぽん様っっ！今回も最後まで見てくださってありがとうございます😭♡ニコイチは現代ぽくない上にぶっ飛びレベルがちょっとアレだったので不安でしたが…。そう言って頂けて本当に良かったです😭ありがとうございます♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - なかさん» なか様いつもありがとうございます！そんなに褒めて頂けて、もう…もう…羽ばたいちゃいそうです😭♡こちらこそ、毎度感動するご感想を送ってくださり心から感謝です！今後もどうぞよろしくお願いします🙇♀️ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Haruno
| 作成日時：2021年11月6日 6時
