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彼が“ 百貨店のチーフ ”としてではなく
1人の男として私の家に来る前は必ず
「今日ウチにいる?」と電話をしてくるようになった。
あの透き通った声、
電話越しでも囁くような激甘な声に
私の胸はぎゅう…っと締め付けられる。
「ちはー。……待ってた?」
そんな風に私を早々に玄関で抱きしめて
彼は悪戯に囁いてくる。
抗えずにこくりと頷いてしまうと
「ぐははっ、素直なのいいね。…んじゃベッド行こ」と
彼の言葉はどこにも寄り道などせずに
真っ直ぐに私を誘う。
「っあ、っん、わた、なべっ…さ、!」
「……うっわ、締まる」
「それっ、っいい、!いい、だめ、んあっ…!」
「ぐはッ、マジで変態。…で、ほんっとかわいい」
「もうたまんねーな、A」と言って
もっともっと壊れそうなほど激しくしてくれる渡辺さん。
こんな私の名を呼んでくれる渡辺さん。
私の孤独で荒んだ心を救ってくれた渡辺さん。
こんな風に私にだけ手を出してくれたのは
きっと何か通じ合うものがあったからに違いないと
ガンガン奥を突かれながら、私は激しく高揚する。
私が乱れ狂う姿を愉しそうに余裕そうな表情で見下ろしていた彼だって、やがていつかは険しい顔になっていく。
そうして「あー、もう、やぁばい、……っいい?」と
小さな男の子みたいな目で私を見つめ、キスをして
今度はその唇を耳元に寄せると「…奥に出してい?」と
いうセリフを、いつも、それはもうかなり甘ったるい声で。
少し舌足らずで、甘えん坊みたいな喋り方で
渡辺さんは私にそう懇願してくるものだから、もう
頷く他ない。
彼は果てる時
いつも静かに唇を噛んで、はぁ、と息を吐いて、
そしてきゅうっと目を瞑って、天井を仰ぐ。
そんな姿も愛おしいと思いながら
母性を刺激された私は彼のものを全部全部余さず受け入れる。
「…、もう、今日もさいっこー」
「……渡辺さん?」
「……ん?」
「今日は泊まっていく……?ていうか、もう泊まっていかない…?」
「良ければだけど、」と付け足すと
渡辺さんは少し気まずそうな表情で目を逸らすと、
ぽりぽりと頭を掻いてははっと笑う。
「あー、俺明日出張でさ。遠いから」なんて
言われて聞き分けいいフリをして諦めるけれど
彼が私に誘われた時に応えてくれたことなんてただの1度もなかった。
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ありす - 全部凄く面白かったです!ドロドロ感が最高です!!特に奇術師の愛の地獄がぶっ飛んでいて好きです!!いつも楽しく読ませていただいております!!続き読めたら読みたいです!!いつも楽しい作品をありがとうございます🙇♀️ (7月31日 1時) (レス) @page50 id: b62757b173 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ゆきさん» ゆき様心躍るコメントを有難うございます😭♡そんな風に言って貰えれば嬉しいなと思って書いていたのです!私自身こんなお話が好みでどうもダークめにしがちなのですが、その部分を共感して頂けているようですごく有難いです。心から感謝です😭♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様、お待ちしておりました(笑)とんでもない、ただのカタストロフィなんです😭(?) 3つも挙げて頂けて歓喜です!いつかユッピン様にドロドロが好きでと言って頂けてからこの路線で書いていくことに自分でもハマれました。本当にありがとうございます!♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - みりぽんさん» みりぽん様っっ!今回も最後まで見てくださってありがとうございます😭♡ニコイチは現代ぽくない上にぶっ飛びレベルがちょっとアレだったので不安でしたが…。そう言って頂けて本当に良かったです😭ありがとうございます♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - なかさん» なか様いつもありがとうございます!そんなに褒めて頂けて、もう…もう…羽ばたいちゃいそうです😭♡こちらこそ、毎度感動するご感想を送ってくださり心から感謝です!今後もどうぞよろしくお願いします🙇♀️ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haruno | 作成日時:2021年11月6日 6時