花狂いとカタストロフィ - [ 短編集 ] -

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彼との出会いはほんの小さな出来心で始めた
マッチングアプリだ。






私と夫は結婚3年目にして既に身体の関係という物は
子供を作るためのただの作業。


私だってまだまだ愛されたい
……愛したい、


お願いだから私を見てと願っても
「疲れているんだ」の一言で行為を何度も断られたこともある。








夫である涼太のことは心から愛している。


尊敬もしている。

ずっとずっと大切に思い続けてようやく一緒になれたというのに、…愛は突然に終わった。







あの頃のように子供は何人がいいかな？なんて話題で浮かれていた2人ではなくなってしまった。


愛する人との子供。…欲しくないわけない。


なのに


うわべの会話をしながら味気のないご飯を向かい合って食べるだけの生活の中で、簡単に心は折れた。







涼太に貰えない愛情を埋めたくて

ほんの些細な好奇心で今人気だというマッチングアプリをスマホに落としていた、がらんどうの私。








……やってみてびっくりだった。







プロフィールを登録しただけで、
あれよあれよと溜まっていくメッセージボックス。


私に向けられる多くの好意。


最早懐かしく感じるほど熱烈な誘いの数々に、
旦那への後ろめたさと再燃した気持ちとで私は背徳感に苛まれた。










だけど何もかもどうでもよくなるほど
私をのめり込ませた男性が1人だけいた。









……それが康二だった。











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どおも〜〜〜！！！
皆の万能調味料こと、塩麹よりも向井康二と申します〜〜！

カメラ趣味！？好きな国……タイ！？！？
お姉さん、
きっと俺と相性いいと思いますわ。

ぜひお話しましょ？？


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初っ端からこんな挨拶。

インパクトもあって、ありきたりな文章を送ってくる
他の人たちよりも断然面白くて。





私はすぐに康二に惹かれた。


康二は会話の中で私に会いたい会いたいとすごく熱烈に誘ってくれて、少しでも会う気を起こさせるようにと自分から写真を送ってくれたりもした。






その顔のあまりの綺麗さには驚いた。


そして何より
「俺のこんな顔でもちょっとでもアリや〜思たらほんっまに飯奢らせて(泣)」とその謙虚な言葉にグッときてしまった。








いけない、いけないとブレーキをかけても

彼を知りたいという気持ちは止まらなかった。







そして会ってしまった。








それが

悲劇の1歩になるとは思わずに。






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