. ページ14
.
見せてもらった手紙は
それはそれは吐き気がするほど胸糞悪かった。
“ 君の周りの人間は馬鹿。だけど君はもっと愚かだ ”
“ 男好きで頭が弱いんだね。媚び売って、誰にでもヘラヘラ笑いやがって ”
“ 尻軽女。いい加減目を覚ませよ ”
“ 彼氏だけじゃ飽き足らず隣の家の男の家にも上がって。
調子乗んなよ。アバズレが ”
Aが見て気に病むのを止めないとと思って
手紙はすぐに俺がAの手から回収した。
せめてもと思って、安物だけど防犯カメラも買って、
家の茂みの中に隠して撮ってみたりもした。
だけどそこには誰も映ってなんかなかったし、
結局何の手がかりも掴めないままで、ただただ無駄に終わった。
それでも俺はAにこれ以上苦しい思いをさせたくなくて、自分なりに必死になってあれこれ色んな方法を考えた。
考えた末にやっぱり警察しかないって何度も何度もAを説得したのに、それはいつも悉く失敗に終わった。
「…おーい。………って、おま、何やってんだよっ」
ある日、ふと思い立って部屋を訪れて正解だった。
息を荒くしながら涙を流し
白く細い手首にギラギラと光るカッターの刃を押し付け、
歯を食いしばるAがいた。
駆け寄って、思いっきり腕を掴んでそれを振り落とすと、
Aは我に返ったようにハッとし
俺の顔を見て、顔をくっしゃくしゃに歪めて大泣きしだした。
たつや、たつや、と泣いて嗚咽を漏らすAを
思いっきり抱きしめた。
…こうなりゃもう抱きしめずにはいられなかった。
瞬間、
ずっとずっと我慢していた気持ちも
もう限界を迎えて一気に溢れ出してしまった。
「なあ……俺んとこ来いよ、A。
絶対守るから。お前の彼氏より側にいてやれるから。
……悲しいこと全部取っ払って忘れさせてやるから」
おっきな目からポロポロと綺麗な涙を流すAに
そんな勢いでキスをした。
ぎゅっ、と目を閉じ驚いて、少し後ろに身体を引いたAだけど
途中で覚悟を決めたように力を抜くと、そっと受け入れるように俺に身を任せてくれた。
静かに重なる唇と唇。
それはどんどんと激しくなっていき
俺はAの身体を抱えてベッドに連れて行った。
弱いところに漬け込む形になっても
受け入れて貰えたことが嬉しくて、俺は夢中になって
Aを抱いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1743人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ありす - 全部凄く面白かったです！ドロドロ感が最高です！！特に奇術師の愛の地獄がぶっ飛んでいて好きです！！いつも楽しく読ませていただいております！！続き読めたら読みたいです！！いつも楽しい作品をありがとうございます🙇♀️ (7月31日 1時) (
レス) @page50 id: b62757b173 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ゆきさん» ゆき様心躍るコメントを有難うございます😭♡そんな風に言って貰えれば嬉しいなと思って書いていたのです！私自身こんなお話が好みでどうもダークめにしがちなのですが、その部分を共感して頂けているようですごく有難いです。心から感謝です😭♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様、お待ちしておりました（笑）とんでもない、ただのカタストロフィなんです😭(?) 3つも挙げて頂けて歓喜です！いつかユッピン様にドロドロが好きでと言って頂けてからこの路線で書いていくことに自分でもハマれました。本当にありがとうございます！♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - みりぽんさん» みりぽん様っっ！今回も最後まで見てくださってありがとうございます😭♡ニコイチは現代ぽくない上にぶっ飛びレベルがちょっとアレだったので不安でしたが…。そう言って頂けて本当に良かったです😭ありがとうございます♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - なかさん» なか様いつもありがとうございます！そんなに褒めて頂けて、もう…もう…羽ばたいちゃいそうです😭♡こちらこそ、毎度感動するご感想を送ってくださり心から感謝です！今後もどうぞよろしくお願いします🙇♀️ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Haruno
| 作成日時：2021年11月6日 6時
