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少女は、とある病室を訪れていた
一人用の少しばかり広い部屋には、少女の幸せそうでそれでいて綺麗な歌声が響いていた
そして、そんな彼女を病室のベッドに横になりながら見守る母親らしき人物
少女は母親の手をぎゅっと握りながら、ときに目を合わせながらメロディーを口ずさむのだった
そんな自身の娘を見て何を思ったのか、母親は少女とともにその透き通った綺麗な声で歌い始めた
しかし二人が歌うのは世には出ていない、つまり、少女が作った歌である
少女は歌うことが大好きで、母親の病室に来てはよく歌を歌っていた
そしてまた、少女の父親も、病室のベッドの隣で静かに座り二人のことを微笑ましそうに見守っている
少女は願っていた
こんな幸せな時間が続けばいいのに、と
だが、一時の幸せなど、
すぐに崩れ去るものなのだ
.
少女が必死に温めようとするのは、冷たくなった母親の手
少女はただ一人、泣きじゃくりながら広い病室でメロディーを口ずさんだ
もう戻ってくるはずのない、母親との思い出の歌を
.
「お前の歌う歌は耳障りだ。
いつまでもそんな未練がましくいるつもりか、うっとうしい」
母親が亡くなり変わってしまった父親
少女は幼いながらもただ静かに過ごすしかなかった
父親がヴァイオリンを習えと言えばヴァイオリン教室に通い、
剣道を習えと言えば必死で竹刀を振り、
外国語をマスターしろと言えばひたすら本を読み漁り、
また、許婚に会えと言えば一つ返事で了承した
父親は少女に“お前のためだ”と言うだけ
そして少女はいつしか、
歌を歌うことも
人に愛され、
人を愛することも
できなくなっていた
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ユイガ(プロフ) - (°д°)ポカンさん» 読んでくださって感謝です!!コメントありがとうございます🙏 (2022年8月30日 17時) (レス) id: a6327be762 (このIDを非表示/違反報告)
(°д°)ポカン - だいぶ前から読んでます。面白いし、てぇてぇが充満してるし…。最高です。無理のないよう、作者さんのペースで頑張ってください。(『無理のないよう』←ここ大切) (2022年8月29日 23時) (レス) @page47 id: 455b891510 (このIDを非表示/違反報告)
ユイガ(プロフ) - うにゃ猫さん» それだけまゆの存在は大きいものだったってことですよね。いま思えばたくさんの人に慕われて愛されていたなぁとも思います。コメントありがとうございます (2022年7月31日 6時) (レス) @page39 id: a6327be762 (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ猫(プロフ) - まゆゆ引退してああ、もう居ないんだなって思ったり、でもちゃんと思い出もあってそこに居たんだなって思ったり気持ちがごちゃごちゃになったぁ、(馴れ馴れしくすみません…) (2022年7月31日 6時) (レス) @page39 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
ユイガ(プロフ) - 後藤絵里さん» お弦のセリフが刺さったようでw良かったです!コメントありがとうございます🙇♀️ (2022年7月11日 17時) (レス) id: a6327be762 (このIDを非表示/違反報告)
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