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加藤side
〜♪
展示会に誘った翌日、
朝食を終えた頃にAさんから電話があった。
「もしもし。」
「おはようございます。お疲れ様です。
あの、昨日は申し訳ございませんでした。
着信も気が付かなくて…」
「…ああ。別に。」
仕事だと嘘をついて弟と飲んでいた事ではなく、
来なかった事に謝ってるのだろう。
別に俺にそれを謝る筋合いは無いが、
今まで見てきた彼女は嘘をつく子ではなかったから
どうにもモヤモヤとしてしまう。
大人気なく、それが態度に出てしまった。
「本当に、すみませんでした。
その、お電話の用件はなんでしたでしょうか？」
「いや、もう済んだから大丈夫。」
「そうでしたか…。」
「じゃあ、また。」
今日はそんなやり取りをして以来の打ち合わせ。
問い詰めはしなかったけど、
普段の俺がわからなくなってしまい
ぶっきらぼうな言い方をしていたと思う。
そのせいで気まずくさせているかもしれない。
チャイムが鳴ってインターフォンのモニターを覗くと
案の定、少し緊張した面持ちの彼女。
そんな姿でさえ愛おしいと思えてしまう。
「どうぞ〜」
努めて明るく呼び入れた。
…は！？ 今、愛おしいって、、
ていうか、弟に嫉妬する以前に、既婚者だろ
え、アイツ結婚したの？いや、まさかな…
さすがにそれは知らせが来るだろう…
「…先生？」
「うわぁ！」
Aさんがリビングに着いていたことに気付かず、
驚いて手にしていたコーヒーを溢しかけた。
「…ふふ。あ、すみません。」
「いや。ごめん、ちょっと考え事してた。
えーっと、少し待っててもらえる？」
「はい。」
笑った姿にキュンとしたのを自覚し、
一旦冷静になろうと書斎へと逃げた。
「うわぁ、まじか…」
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作者名：ネロリ | 作成日時：2021年5月5日 18時
