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やってしまった…
お湯は抜かれていて、
体にはバスタオルがかけられていた。
Aさんの長風呂を心配してた俺が、のぼせて
逆に介抱されるなんて、ダサすぎる。
てか、うわ…見られたよな？
しかも、キスまで…
好きって、口走っちゃってるし…！
「まじかよ…」
コンコンコン コンコンコン
「先生？大丈夫ですか？」
「ああ、今出る。」
急いでバスローブを着た。
「あ、先生、良かった。私の力じゃ運び出せないし、
本当どうしようかと思いました。」
リビングに戻るとAさんが
ウロウロと待ち構えていた。
さっきは気付かなかったが、
可愛らしいパジャマに着替えていた。
それもまた似合っていて心臓がドキッと跳ねた。
「本当に申し訳ない。その、さっきのは」
「ぁ。意識朦朧としてただけ、ですよね？
気にしないでください。私も気にしませんので。」
「あぁ、、ありがとう。」
忘れて欲しいと思う反面、
気にしてくれないことに寂しさを感じた。
現実の俺は素直になれない。
旦那の存在が曖昧だからじゃなくて、
単純に臆病になってるせいだろう。
「氷枕用意したので、少し横になって休んで下さい。」
「ありがとう。助かる。」
「都合良かったですか？」
「そういうわけじゃ！」
ふふふ、と笑う彼女は少し余裕そうで、
状況的に気まずいはずなのに、
2人の距離が縮まってるような感じがした。
朝方、目が覚めて寝室を出ると
ソファーにAさんが寝ていた。
そういえば、起きた時ブランケットがかけられてたっけ。
横になって体を冷ましてる内に寝てしまった俺を
ずっと看ていてくれたのか？
愛おしくて、無防備な彼女の寝顔をそっと撫でると
少し微笑んだように見えた。
ブランケットをかけても全く起きる気配がないから、
ちゃんと休めるように
そっと抱きかかえて彼女のベッドへ
下ろす時の振動で起こしてしまうかもしれないと
ハラハラしたのに、
気持ちの良さそうな寝息を立てて熟睡したまま。
「ふはっ、無防備過ぎだろ…」
ちょっとした出来心で
頬をむにっとしても少し顔を歪めるだけ。
バレたら引かれるのを覚悟して
愛おしい寝顔をスマホに収めさせてもらった。
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作者名：ネロリ | 作成日時：2021年5月5日 18時
