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言われたように、
Aさんはものすごく役に立ってくれた。
まじめで堅いAさんと人見知りの俺が
うまく行くのか初めこそ不安だったが、
グルメ雑誌時代に行ったお店や食べたものや
タウン誌で見た景色など
参考になるものの引き出しが多く、
すぐにAさんを頼るようになった。
そして今日は資料を持って来てくれる日。
…まぁ原稿の打ち合せもあるんだけど。
「失礼します。お疲れ様です。」
「お疲れ様です。コーヒー飲みます？」
「ありがとうございます。
これ、頼まれていた資料です。
参考になるかわかりませんが、
似たようなものも幾つか足させていただきました。」
「いつもありがとうございます！
えーっと、じゃあ、そこに置いてください。」
「かしこまりました。」
「Aさんって関東出身？」
「あ、いえ。」
いえ、ねぇ。
「旦那さんは？」
「、、ちがいます。」
「結婚の挨拶とか、お互いの実家行ったの？」
「あー、はい、まぁ。そう、ですね。」
地元どこなの？
って普通に聞けば良いだけなんだけど、
こんな感じで何度もかわされてきたから
踏み込めなくなった。
何故かは知らないけど、
Aさんは秘密主義なのか自分の事を明かさない。
旦那さんのことに関しては一切、
年齢や職業すら知らない。
小説の参考にと前置きしたとしても
はっきりした答えはもらえたことないんだよなぁ。
それくらい教えてくれてよくない？
と、最初こそ若干の不満を覚えたりもしたが、
いつの間にかそのミステリアスさに
どんどん興味をそそられていた。
あくまでも人として。
．
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作者名：ネロリ | 作成日時：2021年5月5日 18時
