平安時代の魔獣使い

別れの季節 ページ24

※胸糞表現注意

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幸せは長く続かない。


ましてや、鬼の自分には。




分かっていたはずだった。理解しているつもりだった。

寧ろ、その幸せは数年も続いたのだ。長く持った方だろう。
それこそ、奇跡か何かだと錯覚くるくらいにはな。









捕まったのだ。



数年間続いた逃走劇に、とうとう終止符を打たれた。






飛騨の土地で俺たちは見つかった。

術師の中に、獣と視界を共有出来る奴がいたらしい。
そいつに見つかった。


今までにも襲撃自体は何度かあり、その度に(主に女が)撃退してきた。容赦なかった。


しかし、今回はあまりにも敵の数が多すぎたのだ。


三分の二程は削ったものの、その頃は何方も満身創痍。
縄で身体を縛られ、京の土地へと運ばれた。






「あーあ、逃げ切るつもりでいたんだけどなぁ。クッソ、しくったぁぁ」

「実に分かりやすかったぞ、特に貴様の残穢。本気で逃げ切りたかったのか？」
「ザンエってなに？」
「おっとそこからか素人め。


そこの化け物から何も教わらなかったのか？」


腹を踏みつけられて、思わず噎せた。
口の中に血と胃液の味が広がる。




呪術に関して俺は何一つ、基礎の基礎すら女に教えなかった。

どれだけ女が化け物級の術式を持っていようが、それで何百、何千の命を救えようが、俺には関係ない。

巻き込みたくなかった、唯それだけ。


「黙りか。まぁ良い、どうせ二人共……いや、一人と一匹は直ぐに殺す」
「まぁ待て」


男が俺達に術を放とうと構えた時、別の男がそれを止めた。
男には額に縫い目があった。



「この女の呪力量、殺すにはあまりにも多すぎる、勿体ないだろう。
醜女なのが難点だが……まぁそこは良い。

寝返らせるか、それすら無理なら母胎として使え。
優秀な男児を孕ませてから殺せば良い。

嗚呼そうだ、死体は私に渡してくれ」
「……分かりました」



コソコソと此方に聞こえぬように話していたが、何となく嫌な予感はした。


「おい女、今此処で此方側に付くと誓え。そうすれば、お前の命は助けてやる」
「こいつは？」
「鬼は駄目だ、危険だ。そいつは此処で殺す」
「じゃあヤダね。

大体醜女っていうけどさ、お前も大概不細工だよな。なぁなぁ、今まで何人の女の子に面みて断られてきた？教えてくれよ老害爺」


もぞもぞと地面が揺れている。

うつ伏せの俺の腹に、柔らかいものが当たった。


「ディグダ、きりさく！」

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