めめさく短編2 (ページ35)

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とあるタイの夜＊後編＊2 ページ35

佐久間side続き

めめは、俺が手を握って、
引っ張り上げなくても、もう大丈夫でしょ？

そんなことを考えなから、
めめの不機嫌な寝顔を見てたら、
これまでのことを、色々と思い出した。

「さくまくん、こっち。」

「さくまくん、危ない！」

「さくまくん、もうちょっと食べた方がいい。」

「さくまくん、俺も行く！」

「さくまくん、体調どう？」

「さくまくん、目こすらないで。」

「さくまくん、今日さぁ、」

気づいたら横にいて、よく構ってくれる。
それがいつものことで、
あまりにも普通で、なんで俺のそばにいるかなんて、
考えたことも無かったな。

桃「ね、めめ、何で？」

黒「......」

桃「...寝てるよね。」

いつの間にか、また寝返りを打ったラウとは、手が離れてて、
めめのあったかい手はそのままだった。

何で俺のこと、気にしてくれるの？

タイに来る直前のあの日も、
構ってくれたなぁ。

(回想)

あの日は、収録が終わった後、
なんとなく自分で帰りたい気分で、マネージャーの車を断った。
買い物でもして、帰ったら、録画してたアニメでも見ようと思って。

ふらふらと、気ままに歩こうと思ってたのに、そんな時に限って、大粒の雨が降り出して、
連日のダンス練習の疲労も相まって、スタジオの出口で立ち尽くしてた。

あの時、傘、持ってきてなくて。

マネージャーの車、断っちゃったし、
メンバーも、全員乗って行っちゃったから、どうしようって。

でも、そんな時、頭に浮かぶ人がいて。

黒「っ、佐久間くん、雨だよ？今日。」

桃「あれ？めめ、残ってたの？」

ちょうどめめのこと考えてたら、いつの間にか、隣にいた。

黒「マネージャーの車断ってたから、心配で。雨降るって、知らなかったんじゃないかって。
　自分の車で来てないでしょ？送ってくよ。」

いつもめめは、タイミングがよくて。

どうしよ？ってなった瞬間に現れて、解決策をもってきてくれる。

いつもは違うのに、あの日だけ、めめは自分の車で来てて。

桃「ありがとう。ごめんね？用事あったんじゃない？」

黒「いや、別に。あのさぁ、佐久間くんこの後用事ある？」

桃「うんと、買い物して、帰ってからアニメ見る予定だったの。」

黒「そっかぁ、じゃあ、帰りたいよね....。」

めめは、歯切れの悪い、何か考えている様子だった。

お前だって、収録で疲れてるし、雨だし、早く帰りたいんじゃないの？