めめさく短編2 (ページ22)

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これは本当、それは嘘。4 ページ22

部屋に連れてきて、一緒に過ごすようになって、分かったことがたくさんあった。
資産家のお坊ちゃん、いじめられっ子。
家族を世間を恨んでる。そのわりには、
お坊ちゃんのくせに、炊事洗濯、何でもできて、
陰キャの割には、綺麗な歯を全開にして、よく笑う。漢字は苦手。動物とアニメが好き。

そして....。

「蓮、風邪ひいちゃうよ？」

俺の部屋にはベッドなんてなくて、古いソファーが一個。ブランケットも一枚しかない。
大介にソファーもブランケットも使ってもらって、別に俺は床でいいって言ってんだけど、
さっきから、俺のこと心配して、困った顔をしてる。

「あ、このソファー、レバーついてる。」

「へ？どこ？」

「ソファベッドってやつじゃない？
　.....んしょ、....ほら！」

「まじか、知らなかったわ。」

レバーをさわると、背もたれが開いて、ベッドみたいになり、
ギリギリ2人が寝れるほどのスペースができた。

「...蓮、おいで？一緒に、寝よう？じゃないと、
　風邪ひいちゃうし、体痛くなっちゃうから。」

「....う、ん。」

分かったことのもう一つは、『人に優しい』ってこと。
家族や世間を恨んでるなら、もっと、意地の悪いやつになってたっていいのに。

ベッドみたいになったソファーに滑り込むと、ブランケットを俺にだけかけて、
目をつぶってしまった大介。待て、お前が風邪ひくだろ。
背中に手を回して、ブランケットの中に大介を入れると、もぞもぞと俺にくっついてきた。

「...れん、あったか...」

「冷た！...大介の手。」

夜になって大粒の雨が降り出していた。夏なのに今日は結構寒い。

無意識だった。大介の手を握ったのも。
しばらくさすっていたら、かすかに、寝息が聞こえてきた。

大介....初めての友達。

.....友達？

友達なのかな、この気持ちは。

明日は、ターゲット決めて、また仕事しないと。

「うっん、れ、ん。行かないでね？」

「あれ、起きた？」

「どっか行くなら、連れてってね？俺も。」

「...ん。分かった、友達だから。大介は。」

「うんっ。れ、ん、だいすき.....すー...」

「......」

＊

「蓮、お帰り！仕事どうだった？」

「現金、ほら。」

「すごい大金！どうやって？」

「前に言ってた、富豪の。」

「あ、やばい薬の売買してるって、言ってた人か。」

「やってやったわ。」

「すごいね？蓮は。」

「あと、これ。」

「ん？.....なに、これ。高そうな、ネックレス？」