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「え？…いや、うーん…好きかもしれないかなっていうところ」
「へぇ…そっか」
自分から質問をしてきたくせに、潤くんはあまり興味なさげ。
いや潤くんはいつもこんな感じだ。興味があろうがなかろうがこんな態度。
多分、潤くんのことをあまり知らない人だったら、冷たい印象を持つと思う。
加えて美形だし、イケメンオーラあるし、馴れ馴れしく声を掛けられない感じ。
私も幼馴染じゃなかったら、きっと潤くんと接点を持つことはなかったに違いない。
潤くんも翔さんのように王子様な雰囲気でキラキラしているし眩しい人種。
「まあ、いいんじゃない？自分から好きっていう気持ち持てるのは」
チラッと一度私と目を合わせてそう言ったあと、もぐもぐと唐揚げを頬張る潤くん。
「好きって言われて好きなのかも分かんねぇまま付き合って全部失敗してるじゃん。お前に落ち度があるかもしんねぇけど、今回で何回目？えっと…3？4？回目だろ」
「ちゃんと好きになってるよ。フラれて落ち込んだし」
「好きになった気になってるだけだと俺は思うんだけど。さすがに3、4回もフラれれば」
ズキズキと容赦なく刺さる言葉。胸の奥底がきゅううっと締め付けられる。
言葉の本質が何なのか、すぐに分かってしまったのはどうしてだろう。
「好きって言われて流されてるだけ。だから訳もなくフラれるんだよ」
「そりゃ最初は好きじゃなかったかもしれないけど、付き合っていくうちに好きになってたよ」
「じゃあ浮気でもした？」
「えっ、するわけないじゃん！」
「ま、Aの性格上隠し事は無理だな。二股なんて出来るほど器用でもねぇし」
「うん、まあそうだね」
「昔から知ってる俺としては、お前は普通にモテるし、性格も良いし、内面的なことでフラれる感じしねぇし…そうなってくるとさ、やっぱお前…アイツのこと忘れられてないんじゃねぇのかって…それが原因でフラれてんじゃないのかって思うんだよな」
何でだろう、何でまだ苦しくなるんだろう。
もうとっくの昔に、私の中にはあなたはいないのに。
「もう５年も前の話だよ。さすがにもう引きずってない」
「ごめん。もう昔のことだよな」
「…うん」
「だけど、…斗真がトラウマになってるんじゃねぇかって思ってた」
誰だって忘れられない記憶がある。苦くて、苦しい想いが。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
