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翌日。13時に翔さんが指定した駅の改札前で待ち合わせをした。
気持ちが浮足立って、随分と早く家を出てしまった。
その結果、待ち合わせ時刻まであと25分もある。
さすがにちょっと早すぎたよね。
いや早すぎる…だっていつも待ち合わせには早くて５分前とかに着くのに。
朝早く起きて、いつもよりも丁寧にメイクをして、髪の毛も綺麗に巻いて。
着て行く服に迷わないようにと、昨日の夜に考えた服を着て。
耳元には華奢なイヤリングをぶら下げ、たまにしかつけない香水を今日は纏って家を出た。
ちょっと張り切りすぎ？気合入れすぎだって引かれないかな。
久しぶりにこんなにも女の子らしさを前面に出した格好をしたから、翔さんにどう思われるか少し不安になる。
今までは仕事終わりに会うことばかりだったから、いつもの印象とは違う。
会社に着て行く服はシンプルな服で、パンツスタイルが多いから。
可愛いって少しでも思ってくれたら嬉しいな、なんて。
首に巻いたピンクのチェックのマフラーに顔を埋める。
まだ20分もある。だけど待ち時間は不思議と苦じゃない。
本当に私、翔さんに恋しちゃったんだなぁ、と改めて自分の気持ちに気付く。
思えば好きになるまで、あっという間だった。
ただ踏み出すことが怖くて、なかなか自分の気持ちを受け入れることが出来なかった。
今でもまだ、完全には受け入れ切れていない部分があるけど、少しずつ自分を変えていきたい。
少しずつでも、翔さんの瞳に私を映して欲しい。
「Aさん」
それから暫くして、右の方から声が聞こえてきた。
すぐに顔を声のする方へと向けると、「お待たせしました」と言って、いつもの爽やかな笑顔を浮かべる翔さんの姿が見えた。
その姿を視界に入れた瞬間、分かりやすく心臓の動くスピードが上がった。
「あ、翔さん！こんにちは」
「こんにちは。早く着きすぎたかなって思ってたら、Aさんの方が早かったんですね」
少し困った顔で、そう言う翔さんは、チャコールグレーのダッフルコートに、細身のデニム姿。
首元にはグレーのマフラーを巻いていた。
いつものスーツ姿にはないカジュアルな雰囲気で、可愛いさがプラスされた感じ。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
