ー 肆拾肆 話 ー ページ45
「せやで。お前のことも、ずっと気にかけてた」
「ゾム…」
ロボロの質問に対して、ゾムが口を開く。
嗚呼、確か前世で、友達だったんだっけか。
「…ロボロが死んだあの日から、コネシマは心を閉ざしてしもた」
「すまん、ゾム…俺が死んでからの話、教えて貰ってもええか」
ゾムとロボロの真剣な目がかち合う瞬間。
私は、黙って花壇の縁に腰掛けた。
.
「…お前が食われてから、次々と他の奴らも食われてしまったんや」
「…そうか」
邪魔にならないよう、二人の話を黙って聞く。
「ん、それで俺とエミさんと…、いや、二人だけは生き残ったんや。鬼の封印も、正直ギリギリやったけどなんとか俺らで成功させた。」
ゾムがちらりと私を見るが、直ぐにロボロの方に向き直った。
その意味深な行動に疑問を浮かべたが、ロボロの一声でそれは消えた。
「それに関しては、ほんまにありがとうな。…あの日、なんで気付かんかったんやろか。自分が情けないわ…」
俯くロボロの肩に、ゾムは手を置く。
「お前はなんも悪ない。悪いんはあの鬼や…!あいつのせいで、俺達の村は…」
そこまで言ってゾムも言い淀んだ。
その過去にはきっと壮絶な物語があるんだろう。
私には、考えられないような。
「でも、鬼の封印は完璧じゃなかった。やから今、鬼門が開く事になってしまった…。まさかこんな早くとは、思わんかったけど」
「…鬼門って、なに?」
そこで私が初めて口を開けば、彼は再び私の方を見た。
「…鬼が住む…地獄へ繋がる門や」
____“地獄”
そんなものが、本当に存在するのか。
改めて私が非日常に置かれていることを実感する。
「つまり、開いてしまった鬼門に鬼を封印して、再びその門を閉ざさなあかんのやな…」
ロボロが私を見て言った。
待って、そんな事聞いていないんだけど。
「…ごめんな、A。それに関しては俺らがどうにかするから、心配せんでええよ」
「つまり、私は七不思議を解くだけでいいってこと?」
「そういう事になるな」
はあ、と安堵のため息をつく。
鬼の封印という事は、直接鬼と対峙しなければいけないという事だろう。
今でさえいっぱいいっぱいの私には、そこまでの余裕は無かった。
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汐里(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます(^ ^) ほんとはhtrnさんも出したかったんですが、人数の都合上で...汗 楽しんで頂けたら幸いです!これからもこの作品をよろしくお願いします(-人-) (2019年11月23日 11時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 花が好きなの、hらんらん先生や無かった…意外…でもrbさんに花持たせたい…絶対かわいい……ニヨニヨ(( 続き楽しみにしてます! (2019年11月23日 11時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - saikaさん» コメントありがとうございます(^ ^) 確かに和風あまり見ないですよね...完全に私の好みを小説にしてしまいました笑 お褒め頂き光栄です!これからもこの作品をよろしくお願い致します(-人-) (2019年11月22日 18時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
saika(プロフ) - コメント失礼します....!wrwrdの作品で和風系の作品はあまり見ないので凄く新鮮で面白いです.....!登場人物の描写からなにから何までとても好きです.....!これからも頑張ってください!!!! (2019年11月22日 17時) (レス) id: dff2d77afc (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - あややさん» コメントありがとうございます(^ ^) お褒めの言葉を頂き光栄です...!励みになります。これからもこの作品をよろしくお願いします(-人-) (2019年11月10日 7時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汐里 | 作成日時:2019年11月8日 19時