ｰ 肆拾 話 ｰ ページ41
｢え、嘘やろ…｣
｢だから、言ったじゃん…！｣
ぽわ、と宙に浮く小さな光は、暖かな桃色をしている。
ゾムは再びしゃがみこんで他の花達に触れている。
しかし何も起こらないようだった。
｢俺が触れてもならへんのに、なんでや…｣
｢…分かんない、けど…｣
宙に浮いたその光を見つめる。
なんだか、とても懐かしい様な気持ちになるのは何故だろうか。
最近、既視感を感じる事が増えたような気がする。
｢ゾム、きっとここにいるんだよ…名前、教えて？｣
ゾムは穏やかな顔をして、｢きっと、Aやからやろな｣と一言だけ呟いた。
｢どういうこと？｣
｢Aやから、ここにおるやつと共鳴してるんやろ…ま、俺にもよう分からんけど｣
ゾムは寂しそうに笑った。
そして｢名前…な｣と私に言う。
こくりと頷けば、彼は口を開いた。
｢…残酷な話になるけど、七不思議のどれが誰かっていうのが分かるのは、食われた順やからなんよ｣
｢…！｣
ゾムはまた、花に触れる。
やはり何も起こらないのだけれど。
｢…こいつはな、めっちゃ花が好きやってん。コネシマの所にもようけ花持って来てたの覚えてるわ｣
懐かしむような表情で、彼は微笑みながら花を撫でる。
昔の話、と言ってももう何百年も前の記憶であって、私に分かるわけもなくて。
｢金木犀も、こいつがコネシマに教えてやったんやで｣
｢そうなんだ…｣
ポケットから、小さな巾着袋を取り出す。
ほのかな金木犀の香りは心を落ち着かせてくれた。
そしてこれがあるのは、ここにいる彼のお陰なんだなと思う。
私がぎゅっと巾着袋を優しく握りしめたのを見てゾムは微笑む。
｢…ロボロって、言うんやけど。呼んだってくれる？｣
彼はまた立ち上がって私の肩に手を置いた。
私も同じように立ち上がって、すぅ、と息を吸い込む。
｢…ロボロ、さん｣
.
刹那、しゃらんと鈴の音が聞こえた。
それと同時に何者かの声も聞こえてきたのを私は聞き逃さなかった。
｢ッ、…お前、今俺の事を呼んだんか…？｣
瞬きをすれば、銅像にもたれかかっている、顔に『天』と書かれた紙が貼られた少年がいた。
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汐里(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます(^ ^) ほんとはhtrnさんも出したかったんですが、人数の都合上で...汗 楽しんで頂けたら幸いです！これからもこの作品をよろしくお願いします（-人-） (2019年11月23日 11時) (
レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 花が好きなの、hらんらん先生や無かった…意外…でもrbさんに花持たせたい…絶対かわいい……ﾆﾖﾆﾖ(( 続き楽しみにしてます！ (2019年11月23日 11時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - saikaさん» コメントありがとうございます(^ ^) 確かに和風あまり見ないですよね...完全に私の好みを小説にしてしまいました笑 お褒め頂き光栄です！これからもこの作品をよろしくお願い致します（-人-） (2019年11月22日 18時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
saika(プロフ) - コメント失礼します....！wrwrdの作品で和風系の作品はあまり見ないので凄く新鮮で面白いです.....！登場人物の描写からなにから何までとても好きです.....！これからも頑張ってください!!!! (2019年11月22日 17時) (レス) id: dff2d77afc (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - あややさん» コメントありがとうございます(^ ^) お褒めの言葉を頂き光栄です...！励みになります。これからもこの作品をよろしくお願いします（-人-） (2019年11月10日 7時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：汐里 | 作成日時：2019年11月8日 19時
