ｰ 弐拾捌 話 ｰ ページ29
それから少しの沈黙の後に先生が｢あの、｣と声を上げる。
｢ん、ええよ続けて｣とコネシマさんが言うと、先生は｢ありがとうございます｣と言った。
｢…話を戻しますね。率直に申し上げれば、その神様の後悔…所謂未練は、彼らを引き留めてしまっているのです。…それも、この校内に｣
｢…その鎖の事、ですね｣
私がコネシマさんに繋がった鎖を見てそう言うと、先生は｢ええ｣と頷いてくれた。
何度見てもその鎖は痛々しい。
＿＿＿＿先端に着いた鈴の音は、あんなに綺麗なのに。
｢…解かれた鬼の封印は、この敷地内に酷く影響を及ぼすでしょう。現に、鬼に攫われた少女たちも居る訳ですし…｣
｢それは…確信を持ってそう言えるんですか？｣
先生が静かに頷く。
にわかに信じられない事ではあるが、ここまで来て嘘だという方が、今の私には信じられなかった。
重々しい空気の中先生は再び口を開く。
｢…率直に申し上げます。Aさんが今からしなければならない事…それは、｣
そこまで言って、エミさんの言葉は途切れた。
私が疑問に思う中、ゾムが｢エミさん、｣と掠れた声で呟く。
｢…鬼が彷徨く校舎内での、七不思議達の未練の解消、です｣
先生の声は、酷く震えていた。
私の動悸も少しだけ早くなっているような、そんな気がする。
だって、だってそれはつまり＿＿＿＿…
｢…私も、鬼に…｣
｢…大丈夫や、それに関してはゾムが守ってくれるからな｣
コネシマさんはキッパリとそう言った。
そんな事言ったって、ゾムだってれっきとした人間じゃないか。
そんな根拠の無いことを、私は信じろと…？
ぐるぐると頭の中で思考を巡らせていれば、｢A｣と不意にゾムに名前を呼ばれる。
｢俺、前世でも鬼に負けた事ないし大丈夫や。絶対に守るって約束する。…お前にしか、その鎖は解けへんのやから｣
｢…それでも私は、｣と吃る私をコネシマさんが制す。
｢A、お願いや、俺はどうしてもこの鎖を外して鬼と決着を着けないかん…これ以上ここに鬼を留まらせる訳には、いかへんのや…！｣
｢…！｣
コネシマさんはぐっと拳を握りしめ、今にも泣きそうな顔をしていた。
一体、前世でどんな事があったかとか、どれだけ悲惨だったかとか、私に全部分かることでは無いのに。
ここまで心が悲鳴をあげているのは、良心が痛むから、という理由で片付ける事が出来ないような、そんな気がした。
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汐里(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます(^ ^) ほんとはhtrnさんも出したかったんですが、人数の都合上で...汗 楽しんで頂けたら幸いです！これからもこの作品をよろしくお願いします（-人-） (2019年11月23日 11時) (
レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 花が好きなの、hらんらん先生や無かった…意外…でもrbさんに花持たせたい…絶対かわいい……ﾆﾖﾆﾖ(( 続き楽しみにしてます！ (2019年11月23日 11時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - saikaさん» コメントありがとうございます(^ ^) 確かに和風あまり見ないですよね...完全に私の好みを小説にしてしまいました笑 お褒め頂き光栄です！これからもこの作品をよろしくお願い致します（-人-） (2019年11月22日 18時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
saika(プロフ) - コメント失礼します....！wrwrdの作品で和風系の作品はあまり見ないので凄く新鮮で面白いです.....！登場人物の描写からなにから何までとても好きです.....！これからも頑張ってください!!!! (2019年11月22日 17時) (レス) id: dff2d77afc (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - あややさん» コメントありがとうございます(^ ^) お褒めの言葉を頂き光栄です...！励みになります。これからもこの作品をよろしくお願いします（-人-） (2019年11月10日 7時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：汐里 | 作成日時：2019年11月8日 19時
