ー 拾捌 話 ー ページ19
少しだけ考えてみたが、やはり七不思議の噂は一度も聞いたことが無かった…という考えに至った。
「私は何も聞いたことないです、詳しく教えて貰っても良いですか?」
コネシマさんにそう聞くと、コネシマさんが頷く前にゾムに遮られた。
「嘘やろ?俺でさえ知ってるって言うのに…」
「そんなに有名なの?」
私が首を傾げれば、ゾムはえーとな、と人差し指を立てて、「まず一つ目、庭で光る花やろ?」
「いやいやいや、ちょっと待って」
光る…花?
なんだそのパワーワードは。
「いや、うちの学校広い花壇あるやんか?その一箇所の花だけ発光するらしいねん」
「いやいやいや…」
私は額に手を当てて、考えた。
花が光る…だと…?
なんだその胡散臭そうな作り話は、というかそれは完全に見間違いだろう。きっと月の反射か何かで光ったように見えた、ただそれだけに違いない。
…と、信じたいところではある、が。
「ほんまやでA」
「ん?」
コネシマさんがにこりと笑って言った。
「だって、俺という存在がここにおるってことが証拠やろ?神が居れば霊もおるねん」
「霊、」
いや、たかが鈴の音でビビっていた私に、霊という存在を突きつけてくるのは如何せんいかがなものだろうか。
「まあまあ、時間もないし次行くで」
「え」
ゾムの方に目をやると二本指を立てて「二つ目はなー、」と目線を泳がせていた。
「あ、思い出したわ!生物室の動く人体模型」
「なんて?」
ダメだ、私の精神が耐えれそうにない。
私はそういうのダメなんだ…夜の校内で人体模型が動いてるなど想像したくもない。
「次行くで、三つ目はな、」
「待て」
私が止めるのも聞かずに既に彼は三本指を立てていた。
「なんやったっけ?確かプールで勝手に上がる水しぶきだった気がする」
「おお、まあ二つ目よりましだ…」
これからまだ4つも待ち受ける恐怖に、もう私は驚かないことにした。
そんな私をよそに、彼は四本指を立てて続ける
「四つ目、音楽質から聞こえるピアノ」
「あー、七不思議と言えばって感じ…」
「んで五つ目は、」と間髪を入れずに話し始めるゾムは心做しか楽しそうだ。
「えーと、体育館に響き渡るボールの音やな。んで六つ目は教室の端でひとりでに動くペン!」
なぜ目の前の男はここまで楽しそうなのだろうか?
と思いつつも、私は相槌をうちながら話を聞いていた。
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汐里(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます(^ ^) ほんとはhtrnさんも出したかったんですが、人数の都合上で...汗 楽しんで頂けたら幸いです!これからもこの作品をよろしくお願いします(-人-) (2019年11月23日 11時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 花が好きなの、hらんらん先生や無かった…意外…でもrbさんに花持たせたい…絶対かわいい……ニヨニヨ(( 続き楽しみにしてます! (2019年11月23日 11時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - saikaさん» コメントありがとうございます(^ ^) 確かに和風あまり見ないですよね...完全に私の好みを小説にしてしまいました笑 お褒め頂き光栄です!これからもこの作品をよろしくお願い致します(-人-) (2019年11月22日 18時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
saika(プロフ) - コメント失礼します....!wrwrdの作品で和風系の作品はあまり見ないので凄く新鮮で面白いです.....!登場人物の描写からなにから何までとても好きです.....!これからも頑張ってください!!!! (2019年11月22日 17時) (レス) id: dff2d77afc (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - あややさん» コメントありがとうございます(^ ^) お褒めの言葉を頂き光栄です...!励みになります。これからもこの作品をよろしくお願いします(-人-) (2019年11月10日 7時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汐里 | 作成日時:2019年11月8日 19時