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イケメンに会えたのはいいものの、かなりお酒が回ってしまった。未だに足が覚束無い。オーナーが心配して送ろうかと言われたが、それは外に出てすぐの場所に立っていた人物によって前言撤回になった。
『…鬱。』
ut「やっほー、元気してた?」
『別に…何、またいつもの?』
オーナーはこの海洋民族の手の内だ。私が鬱と話し始めたらお店の中にへと戻っていってしまった。それが賢明な判断だろう。間違ってもいない。
鬱はそんなオーナーの背中を見つめた後、私に視線をまた移してにこりと絵に書いたように笑う。あまりにも普通の笑顔すぎて背中がゾッとした。この笑い方は嫌いである。
ut「どう?海賊探し。」
『海賊なんてゴロゴロ居る。』
ut「その海賊の中に俺らが探してる海賊が居ったりせぇへんかな?」
『知らない、覚えてない。』
鬱だから今こうやって荒っぽい口調で言えるが、トントンやロボロとなったら話は変わる。あの2人の威圧感は嫌いだ。先週はトントンだった。…あー、でもこれ、言い過ぎたかな。
多分ここまで行くと、
耳を貫くような音と体の衝撃に、思わず顔を歪めてしまった。両手首を壁に打ち付けられ、鬱と顔の距離が近くなる。
ut「なぁ、自分の立場分かっとる?」
『…。』
ut「Aちゃんの母さんが居る限り、君は俺達の支配下なんやで。」
『……分かってるよ。散々お母さんには言われてきた。貴方達との縁も長いからこうやって普通に話してるんじゃないの?』
お母さんは昔から賭け事が大好きで、そういうやり取りを何度もしていた。そのせいか私達の家に残されたのは莫大な借金。黒い服の人が何度も家を出入りして、部屋に引き篭ることも少なくはなかった。
でもそれでも母さんが私を売らなかったのは何かこれから使い道があるだろうと思っていたから。
これは推測なんかじゃない、本人の口から直々に出た言葉。
痺れを切らした借金取りの人達は私を無理矢理連れていこうともした。然しそれを頑張って阻止した母は、そんな私と引き換えに借金を取り消す一つの方法に出た。
海洋民族に協力をするという一つの方法。そしたら私のピアノを続けたいという願いも仕事として叶えるし、借金も代わりに出す、というもので。
だからあそこのオーナーも海洋民族には逆らえない。お金もよく負担してもらってるらしいし。
ut「ここに仕事を指定したのは」
『海賊を観察する為、でしょ?』
彼らの海賊への執着は異常だったりする。
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四ツ谷抹茶(プロフ) - Alexさん» ありがとうございます…!!!そう言って頂けて光栄です、どうぞこれからも応援よろしくお願いします…! (2019年7月16日 19時) (レス) id: 2106793cf6 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - とても面白かったです!応援してます! (2019年7月16日 13時) (レス) id: 9980b2e5cf (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷抹茶(プロフ) - かなさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました!最高言っていただけるような作品を届けることができてとっても嬉しいです…!応援まで…本当に感謝しかありません、次回作も期待して待っていただけたら有難い限りです、よろしくお願いします!! (2019年7月15日 23時) (レス) id: e084f888fc (このIDを非表示/違反報告)
かな - 初見失礼します!本当に最高でした!もう最後のut先生の所は恥ずかしながら泣いてしまいましたw次は脅威の作品を見ようと思います!そしてこんな中学生の拙い文章を読んで頂けると嬉しいです。貴方様をずっと応援させていただきます! (2019年7月15日 23時) (レス) id: 2f3992ceb8 (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷抹茶(プロフ) - 理香さん» コメントありがとうございます!今回の小説は憧憬というキーワードを意識して書いていたのでそういう感想を聞けて私も嬉しいです…!これからの航海もいいものであるといいなと私も思います…ここまでの応援、感謝です!次回作もよろしくお願いします!! (2019年7月15日 19時) (レス) id: e084f888fc (このIDを非表示/違反報告)
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