鬼と人の境界者

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炭次郎side









Aが来てちょうど６年。




今ではすっかり家族の一員だ。








父である炭十郎は雨に打たれていた彼を家に招いた。




Aは家事を手伝ってくれるし、子守も嫌な顔せずしてくれた。




彼曰く、『お邪魔させて貰ってるんだからこのぐらい当たり前』らしい






Aは一緒に炭を町に売りに行ってくれた。






町に行く最中に沢山俺の知らない話をしてくれる。



海の話、他の町の話、食べられる物の話、旅の話。






たまに一緒に行く弟や妹もAの話が大好きでそんな家族を見ているのが俺の楽しみでもあった。









「Aー、薪を切りに行くんだけど今手空いてる？」




Aは文を書いていた。





『…おーわかった。すぐ終わるから準備しといてくれ』





(…また誰かに書いてる。)





覗いて見ると綺麗な文字で自分の無事を伝えることが書かれていた。




「……A、よく文書いてるけどどうやって送ってるの？」





『んー？それはな〜化けガラスがここまで来てくれて、ある人のところまで送ってくれるんだ』





「化けガラス？」


ねずこが反応した。





Aはニヤッと笑うと手を大きく広げて





『そうだ！こーんな大きな化けガラスなんだぞ〜
そいつと目が合うと鬼にされちまうんだぞ……






こんな風にな！』








すると勢い良く俺たちを抱きしめた。




受け止めきれず全員が寝そべりかえる。








「もー！A重いーー！！」




「早くどいてーー」






『ははは！そんなこと言う奴にはこうだー！』





「はははははは！！！くすぐったい！」







「こら！家の中ではしゃがない！」









(……いつもAがいるこの生活がずっと続けば良いのに。)









いつか来るAとのお別れがもっと先でありますようにと願った。

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