鬼と人の境界者

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しのぶside





初めて彼を見たのは姉の柱合会議が終わるのを待っている時だった。








お面を被って、右側には耳飾りをしていた。






会議が終わって出てくる姉はいつも彼の側に来た。








…カナエ姉さんはいつも嬉しそうに話をして喜んでた。




またAと話せた、また会いたい、と口癖になっていた。









姉さんはAに好意を寄せていた。








「しのぶ、私ね？彼のお面の下見たことがあるの」






「！信じられない、絶対にお面は外さないって聞いてたわ」






キラキラした目で姉さんは私の顔を覗いた。




「そうなの！でもあの日は雨が止んでおっきな虹がかかっていたの」






虹を一番近くで見ようと近くの山の山頂に着いた時、そこにAがいたらしい。









「顔に傷なんて一つもなかったわ。凄く綺麗で…かっこよかった」



「また見たいなーぁ」






でも姉さんが彼の顔を見たのはそれが最後だった。鬼に殺された。









それからしばらくして私はAと隊員と一緒の任務が来た。









やっぱりAは強かった。




応援を呼んできた隊士すら誰も殺されず助けだせたのだ。







(…凄い。特に空閑滅園はもう彼の勝利を認めるような技だ)






あの空間の中に入ると鬼はたちまち消えてしまった。







彼曰く『消した』らしい。





その日からだろうか、私も彼に惹かれるようになったのは。








それから彼は鬼殺隊から姿を消して今戻ってきた。




本当に嬉しかった。






私も柱になって、ようやく彼の側に立てると思えたから。









ーー『……しのぶ？』




(…名前も覚えてくれていた)







赤くなった頬を冷ましながら私は彼の方に向いた。









「待っていましたAさん、これからよろしくお願いしますね」







ーーきっと柱になってから一番素で笑えたと思う。







彼の表情は分からなかったがきっと笑っていた。






『…こちらこそ宜しく』

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