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「誠也くん怖いし明日も朝早いしそろそろ切るわ」
「おい、どういう意味や」
『なんかごめんね、大ちゃん』
「Aに振り回されるのなんか今更やん」
『え、いつ振り回したんよ』
「おやすみ。あったかして寝えや」
『大ちゃんもね。お酒はほどほどにしいよ』
「Aに言われたないねんなあ。あ、誠也くんもほどほどにしといたってくださいね」
「うっさいわぼけ」
誠也くんの暴言を最後に終わった大ちゃんとの電話。なにこれ。なんの時間やったん。
電話は終わったのに尚もがぶがぶと噛み続ける誠也くん。
『ていうかいつまで噛んでんの。痕残ったらどうすんのよ』
「残るように噛んでねやけど？」
『そうじゃなくて！見えたらどうすんのって話！』
「ちゃんと見えへんとこ噛んでるから安心し」
『怒られたら誠也くんのせいやからね』
これで最後と言わんばかりに、肩から首に掛けてのラインを噛んでいたその口は、いつの間にやら指へと移動していて。
噛み終わって満足気な顔をする誠也くんと自分の指とを見比べていたら、うすーく噛み跡を付けられているのは左手の薬指やった。
『……なにこれ』
「ん？本物はまだもうちょっとかかりそうやからとりあえず」
『……あたしこんなことでキュンとなんかせえへんからね』
「え、うせやん。そこは、『せーやくんだいすき♡』ってなるとこちゃうの」
『なれへんよ。ていうかそれあたしのモノマネ？』
「おん。似てるやろ」
『ぜっんぜん似てへん。あたしそんなアホみたいな喋り方してへんもん』
「しとうで」
『即答やめて。泣くで』
「消えてきたらまた付けたるな」
『ほんまにいらん』
「照れんなって」
『照れてないんよなあ』
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
