103. 呼吸さえも忘れるほどに ページ5
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「ちょ！！！！ちょちょちょ！！！来てるって！！！無理やって！！！！」
『うるさっ、耳潰れる、』
「はよ撃てって！！！おい！！！そいつはよ仕留めて！！！」
『無駄撃ちしたくないもん。無視できるやつは無視します』
おうちに帰ってた誠也くんも東京に戻ってきたお正月休み最終日。
やっぱりお正月と言えばこれでしょう、ってことで、誠也くんがおらん間に始めた某ゾンビゲーム。
いつもは防音性の高いお部屋で配信とかしながらやってるんやけど、個人的にやりたいだけやしたまにはリビングのおっきいテレビでやるか〜って思ったのが間違いやった。
『誠也くんやりにくい』
「せやな」
『離して』
「いやや」
誠也くん帰ってきて晩ご飯もお風呂も済ませて、終わりまでもうちょっとのとこまで来たし、クリアまでやってから寝よってゲーム再開しようとしたら、お風呂から出てきた誠也くんがソファとあたしの間に無理やり入り込んできて包み込まれる。いわゆるバックハグの状態。
『も〜なに？甘えたモード？』
「寂しい言うて電話してきたん誰やねん」
『……したけどぉ。それとこれとは今は別』
「ディズニー楽しかった？」
『うん！めっちゃたのしかった！淳太くんがねえ、いっぱい奢ってくれてねえ、乗り物もいっぱい乗れてねえ、』
「あの人ほんまなんやかんや言うてAのこと甘やかすよな。今度お礼言うとこ」
『あ、誠也くんおみやげあるよ』
「うせやん。なに？」
『シンバの抱きまくら』
「は？もしかしてベッドに転がっとったあれ？」
『そうそう。それ。あれ誠也くんの』
「は？うそやろ？」
『え？ほんまやけど』
「佐野の間違いちゃうん」
『え、ちゃうよ。誠也くんよ』
「ふざけたやろ？」
『めっちゃ本気やけど』
「あれ貰って俺どうしたらいいん？」
『あたしやと思って抱き枕にしたらいいんちゃう？』
「それは無理があるやろ。ていうか、あれ持って新幹線乗って帰るん嫌やで、俺」
『えっっっ』
「本気で落ち込むやん(笑)」
『せっかく買ったのに……しゃあないから今度佐野くんにあげよ……』
「ちょ、それはちゃうやん」
『だって誠也くんいらんねやろ？』
「いらんなんか言うてへんやん。ここ置いとけばええんちゃうの」
『あ、そっか』
「お、クリアしたんちゃう」
なんやかんや話しながらもゲーム進めてたらラスボス戦もあっけなくクリアし、画面にはエンドロールが流れ始めていた。
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
