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空いている手で頬を優しく撫でられるから、全身の熱が顔に集まって熱くなる。その間も絡められた指は強く結ばれたままで、なんか、空気が甘くて飲み込まれそう。
熱のこもった視線で誠也くんがこっちを見つめるから、恥ずかしくて顔を逸らしたものの、それはすぐに戻された。
「あかん。ちゃんと俺の方見て」
『う、あ、でも、』
「でもちゃう」
親指で頬を撫でながらあたしを見つめる誠也くんの視線からは愛しか感じなくて、ああこれはあたしも真剣に向き合わなあかんなって思った。
『あのね、』
「ん？」
『……あたしも誠也くんが好きやよ』
「おん」
『好きで好きでたまらんくて、離れてる日は不安でしゃあなくて、いつか飽きられるんちゃうかなって、不安に押しつぶされそうになる』
「飽きるわけないやん。こんなに好きやのに」
『ふふ、ありがとう』
「ん？なにがありがとう？」
『あたしのこと好きでいてくれて。そばにいてくれて』
「ずっとそばにおるよ。つか、嫌って言われても隣におる言うたんAやで」
『それから……、いっつも素直になれなくてごめんなさい』
「それはほんまにな。でもええよ。それがAやし。そんなとこもかわいいし好きやし。素直じゃないとこも急に大胆になるとこも全部含めて愛しとうし」
『、そ、れは、ずるくないですか、』
「……明日何時に帰るん」
『撮影夕方からやからお昼ぐらいには東京着きたいなあとは思ってる、けど、』
「今日実家帰られへんくてもいい？」
『………いいよ』
その返事と共に降ってきた唇は、少し触れただけやのにいつもよりも甘くて熱い気がした。
その後、いつの間に予約したのか、誠也くんに連れられて向かったホテルの部屋はびっくりするぐらい広くて豪華で、しばらく開いた口が塞がらなかったのはまた別のお話。
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
