アルストロメリア (ページ49)

今日:408 hit、昨日:281 hit、合計:254,327 hit

48.上手に欺いてページ49

.

『海ちゃーーん！久しぶりやねえ！』

「Aちゃん！ほんと久しぶりだねえ。いつぶり？」

『一緒に東大目指してたぶりじゃない？』

「言い方ね？」

『だって事実やし』

「事実だけど事実じゃないんだよね」

『おっかしいなあ？』

ちょこちょこ連絡は取ってたけど、直接顔見て話すのは久しぶりな海ちゃんは、役のせいもあるんやろうけど会ってなかった1年半の間に少し大人な顔つきになっていた。

「Aちゃんめっちゃ髪明るいね？東大目指してた時は黒髪だったからなんか新鮮」

『まああの時は優等生の役やったし？』

「今回ギャルだもんね？振り幅すごいね？」

『せやろ？でもいろんなお洋服着れるから楽しい！』

「あ、そうそう」

『ん？どしたん？』

「これ、廉がAちゃんに渡しといてって」

『ん？』

海ちゃんがくれたハイブランドのロゴが印字された紙袋の中には、綺麗にラッピングされた少し重さのある箱とちっちゃなメッセージカード。

『わ！嬉しい！でもなんで？』

「遅くなったけど誕生日プレゼントだって。ほんとは直接渡したかったけど会えそうにないから代わりに渡しといてくれーって」

『え～～！れんれん～～！直接渡してくれへんとこ腹立つけどメセカ付けてくれちゃうとこは好き～～！』

「廉も喜ぶよ(笑)」

『開けてもいいかな！』

「開けて開けて！動画撮って廉に送るから！」

『えへへ、なんやろ』

ラッピングの包装紙が破れへんように、丁寧に慎重に開けていく。いくつになっても、プレゼントを開ける瞬間のドキドキとかワクワクとかが混ざりあったこの感情は言葉に出来ひん幸福感があるから大好き。

『えー、ちょっとドキドキする』

「俺も中知らないんだよねぇ」

『へへ、開けまーーす！』

緊張しながらもゆっくり丁寧に、覆いかぶさってる上蓋をカポッと開けると、中から出てきたのはマグカップ。それも2つ。どこからどう誰が見てもペアのやつ。………永瀬さん？さてはやったな？

「え！めっちゃかわいい！でもなんで2つ？ていうかペア？」

『あーーー、あれちゃう？単純にこのデザインかわいいけど単品売りがなかったーとか、れんれんがうち来たら使おうとしてるーとか、そんなんちゃう？』

めちゃめちゃ苦し紛れの言い訳に少し不可解そうな顔をする海ちゃん。そもそもれんれんがうち来たことなんて数えるぐらいしかない。いくらなんでもちょっと無理があったか、やっぱり。