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『あーあかん。泣いたらあかんのに。ぜっんぜん止まらへん』
「なんで？」
『ん？』
「なんで泣いたあかんの」
『だってあたしが泣くのは間違ってるやん。あたしが泣いていい立場じゃないもん』
「そやけど。Aは怒られて、喧嘩して、悲しいと思ったんやろ？出ていった時に寂しいと思ったんやろ？それって泣いていい理由にはならんの？」
『それとこれとはまた別やん』
「別ちゃうやろ。泣きたいときに泣くことの何があかんの。溜め込む方が良くないやろ」
『……どしたんれんれん。今日めっちゃ優しい』
「そうか？思ったこと言っただけやん」
『優しすぎて怖い。それアルコール入ってる？』
「入ってへんわ。明日も朝早いのに」
せっかく慰めてあげようかと思ったのにめちゃくちゃきょとんとした顔して驚く目の前の奴。失礼すぎん？俺の優しさ返してくれ。
『……嫌われてたらどうしよ』
「絶対無いわ(笑)」
『むぅ、なんで笑うんよ』
「ごめんて(笑)けど大丈夫やと思うで(笑)」
『ほんまに？アホすぎて呆れられたりとかしてへん？どうしようもない奴って見限られたりしてへん？』
「無い無い(笑)考えすぎやて(笑)」
だって自分らアホみたいにお互いのこと大事に思ってるやん。傍から見てて恥ずかしいぐらいにお互いのこと大好きやん。大好きで大事やから心配して怒るし喧嘩するんやろ？そんな相手がいてるってちょっと羨ましい、なんて口が裂けても言わんけど。
「まだ東京いてるんやろ？」
『うえすとのドーム出るって言ってたからまだしばらくはいてると思う』
「すぐ会える距離にいる内にちゃんと謝りや」
『ん。がんばる』
「なんなら今連絡したら？」
『それはちょっと心の準備が、』
「ほないつすんねん」
『あ、明日とかに、もう今日夜遅いし、』
Aのことやからなんやかんや理由付けて先延ばしにする気がするな。めんどくさいことになりそうやけど、一応保護者に連絡入れとくか。
『1人じゃやっぱ怖いな……大ちゃんに着いてきてもらおかな……』
「お前それだけはまじでやめとけよ。余計修羅場になるだけやで」
『……冗談やん』
「絶対冗談ちゃうかったやん、今の間」
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
