36.ほつれかかった赤い糸 ページ37
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世間はお盆間近。仕事終わりに、長期休み中で久しぶりに予定の合った大学時代の親友とご飯食べてお酒呑んで近況報告もし合って。
出会った時から生粋のジャニオタでまさかの小瀧担な親友は、最近なにわ男子にもハマったらしく、今のところみっちーに傾いてるらしい。よかった。大ちゃんて言われたらいよいよどうしようかと思った。
生粋のジャニオタやけど、"アイドルとは偶像であるからこそ素晴らしい"が理念の彼女曰く、プライベートとかは1ミリも興味無いらしい。あたしにも偏見を持つこと無く対等に接してくれる、そんな彼女やから大学時代からずーっと友達やってこれてると思ってる。
「ってことでなにわちゃんのツアーも着いてきてね」
『いやいやわからへん。そも今度のうえすとの東京ドームも着れていかれるやん、あたし』
「うん。そうだね。でも今日散々惚気聞いてあげたでしょ？」
『惚気言うな』
「あれを惚気と言わずしてなんと言う」
確かに。普段人に話されへん分、思いっきりいろんなこと聞いてもらった気もする。惚気と言われれば、まあ、惚気なんかも。自覚なかったから恥ずかしなってきた。
「わたしはアイドルのプライベート聞きたくないんだよ？それなのに聞かされたんだよ？それの代償と思えば安いもんだよね？」
『うっ、ごもっともです、すみません、包み隠さず話せる人中々いなくて』
「うむ。よろしい。それで？まだあるんでしょ？惚気」
『5秒前に聞きたくない言うたん誰やねん』
「アイドルのプライベートは聞きたくないけど親友の恋バナは聞きたいもん」
『自己中かよ。そういうとこ好き』
「ほら。早く」
『こんなん酔わなやってられへん』
さっきまではなんとも思わんかったけど、これが惚気と理解してしまえば恥ずかしさの方が勝ってしまうもので。でも聞いて欲しい気持ちもあるのは確か。
もうこうなりゃ酔ってしまうしかないやろ、と度数強めのお酒を適当にちゃんぽんしたらものの1時間後にはよく喋る酔っぱらいの完成。幸いなのは酔っても意識ははっきりあるし、自分で家にも帰れるぐらいにはしっかりしてるところ。こういう時はお酒強くてよかったなって思う。
話も弾みなんやかんや閉店間際までお店に居座り続け、呼んでもらったタクシーに1人乗り込む。おうち帰る前にコンビニ寄りたいな〜口の中アルコールの味するしアイス食べたい、なんてフワフワした頭で考え運転手さんにはマンション近くのコンビニで降ろしてもらった。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
