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それからというもの、俺の彼女への興味はどんどん強まっていき、彼女がドラマや映画に出ていたら必ず見るようになったし、雑誌も女性誌エンタメ誌など種類問わず集めるようになった。
それでも彼女と俺の世界が交わることはなく、俺はいわゆるただのファン止まり。それでいいと思ってたしもちろん不満なんてなかった。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、まっさんは朝ドラで共演、連絡先も交換していつの間に仲良くなってるし、かと思えば何がどうなったのか、いつの間にか誠也くんは彼女と付き合っていた。いや、ほんまに何がどうなってそうなったん。
最初に見つけたのは俺やのに。最初に彼女の魅力に気づいたのは俺やのに。、なんて醜い嫉妬。いや、嫉妬ですらないな、こんなん。
だって彼女と俺との間にはなんの接点も無いんやから。俺が一方的に知ってて、俺が一方的に憧れを抱いてるだけ。これからも関わることは無くて、同期の友達で先輩の彼女。、のはずやった。
『あ！ふくもとくん！』
「え？」
色々なご縁でグループでは無く単独で出して貰えた番組の収録。共演者の中にAちゃんがいるって知った時からめちゃくちゃ緊張してたのに、まさか向こうから声掛けてくれるなんて夢にも思わんかった。
『あ、突然ごめんなさい。はじめまして白坂Aです！』
「あ、福本大晴です……」
『えへへ、正門くんとか誠也くんからお噂はかねがね(笑)』
「あ、え、噂されてるんすか？僕」
いつの間に噂しとったんや。ていうか噂ってなに？いらん事話したりとかしてへんやんな？特にまっさん。
『ふふ、あたしのことめちゃくちゃ好きな子がグループにいてるんやで〜って』
「え、なにそれはっっっず」
『一度お会いしてみたかったから今日ご一緒できてめちゃくちゃ嬉しいです！』
「えぇ、そんなん、こちらこそです、」
雑誌やテレビ越しじゃない、初めてちゃんと顔を見て会話した彼女は想像通り、いや、想像してたよりも可愛くて優しくて素敵な人で、もう、引き返されへん気がした。
その後も誠也くんの許可を取った上で連絡先を交換し、ちょくちょくラインのやり取りや何人かで一緒にご飯に行ったりと仲良くしてくれた。Aちゃんがどうしてもと言うので敬語もタメ語に変えた。
相変わらず彼女は優しくて魅力的で。益々惹かれていく一方で、彼女が一番かわいくなる瞬間て誠也くんの隣やなあって現実も突きつけられて。ほんまに敵わへん先輩。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
