アルストロメリア (ページ20)

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いろんなところであたしのことを憧れの女優と言ってくれるたいちぇくんは、会うたんびに顔真っ赤にしてソワソワしてくれる。そんなところがかわいくてついつい甘やかしたくなるし、あたしよりもだいぶ高いところにある頭を撫でてしまったり。
そしてその現場を誠也くんに見られてしまい、たいちぇくんから引き離されるのが日常。

『2人ともまだお仕事中なん？』

「せやでぇ。今日はみんなで1日雑誌の撮影やねん」

『ほえ～、夜遅いのにご苦労さまです』

「ありがとうございます(笑)他のメンバーは今撮影行ってて俺ら2人休憩中やのよ。多分あと2～30分もしたら誠也くんも帰ってくるんちゃうかな」

『あ、それは大丈夫でーす』

「なんで？どうしたん？喧嘩でもしたん？」

『いや全く』

「ほななんでやのよ」

『だって正門くんとビデオ通話してるってバレたらめんどくさそうやもん』

「誠也くん、Aちゃんのことになると過保護やからなあ(笑)」

『せやねん。嬉しいねんけどさあ。あれほんまどうにかならんかなあ？』

「そんなん言うたあかんよ(笑)」

『後ろでたいちぇくんめっちゃ悪い顔してんねんけど』

「多分イジるネタ見つけた思ってるんやで、あれ」

『ほどほどにしてあげて(笑)』

真っ赤な顔でソワソワしてたたいちぇくんはどこへやら。ニヤニヤ顔でさっきとは別の意味でソワソワしながら扉の方の様子を伺っている。たぶん誠也くん帰ってくるの待ってるんやろうな～。たいちぇくんもわかりやすいな～(笑)

『あ、ほんでなんでビデオ通話？』

「あ、せやった。Aちゃんの顔見れたの嬉しくてすっかり忘れてた」

『正門くんほんまそういうとこやで』

「え？なにが？」

自分がどんだけの爆弾落としたかわかってない正門くんはほんまタチ悪い。あたしじゃなかったらたぶん落ちてたで、今のは。
そういうところが"リア恋枠"なんて呼ばれる所以なんやろうけど。勘違いする女の子いっぱいおるやろうなあ。なんか正門くんのこと心配になってきた。

「さっき言うてたギター、ちょっと見せてもらいたいなあ思て。あかん？」

『全然ええよ？ていうか今ここにあるし』

部屋の隅に置いてて正門くんからは恐らく見えていなかったであろうすーくんのギターを取り出す。画面に映ったギターを目の当たりにした正門くんの瞳は、宝物を見つけた少年のようにキラキラと輝いていた。

「うわぁ、ほんまにすばるくんのギターや、すご、」

『ちょっと弾いてみる？』