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その後、半ば強引に連行した女性向けアパレルショップで、彼は終始居心地悪そうに周囲を見渡していた。
「俺、なんか目立ってない？ 邪魔って思われてるよね」
もちろん、とんでもなく目立っている。店内に突如として降臨した美青年に、客は漏れなく釘付けになっていた。
「やっぱり外で待っとく」
出口へ向かおうとした彼の腕を捕まえた。「宿舎を抜け出したり、ナンパに付いて行ったりする勇気はあるのにね」
「脅迫やめて……」
青ざめた彼は、「わかったよいるよ」と息を吐いて、店内をうろつき始めた。
落ち着かないのは分かるが、じっとしていればいいのに。イケメンじゃなかったら確実に通報されている。
大光が、「作間はお前が夢見てるような男じゃないぞ。変人だし、結構ポンコツだし、幻滅すると思うから覚悟して行けよ」と言っていた意味を完全に承知した。
「さくま、さくま」
彼の元に駆け寄り、手にしたブラウスを自分の体に当てる。「これ似合う？」
彼は困惑したように目を泳がせて、「ううんと、あの、わかんないけど、たぶん似合ってるんじゃない？」と頼りない返事をした。
「なにその適当な意見」
「だって、女の人の服なんて分かんないもん」彼は綺麗な黒髪をもしゃもしゃと掻き混ぜる。
「なら、作間の好きな服教えてよ」
「俺の好きな服？」
「うん。どういう系統の服着た女の人が好きなの？」
そんなこと言われても……と店内をきょろきょろ見回した彼の視線が、ある一体のマネキンで止まった。
「……あれかな」
彼の指の先にあったのは、シックな黒いワンピースだった。
間違いなく、選ばれし女のみに許された装いだった。自分のようなちんちくりんの童顔女子高生は絶対に着られない。
年上の綺麗系が好きって本当だったんだ、と彼を見上げた瞬間、息が止まりそうになった。
心ここにあらずといった表情で、マネキンを見つめていた。
その表情があまりに儚くて、触れたら壊れてしまいそうな気がして、でも触れたくなった。
それでいて、自分には決して、永遠に触れられない存在であることも、同時に理解した。
全てを察した。
彼が大光に言ったあの言葉は、漠然とした好みの話でも、単なる男同士の語り種でもない。
彼の心の中には具体的な人物が浮かんでいたのだということに、初めて気付いた。
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真澄(プロフ) - 浬さん» コメントありがとうございます。5年前のいがさくのお話ですね！ちびさくにお兄ちゃんぶるガリさん書いててすごく楽しいので、読んで頂けたら嬉しいです♪ (2021年2月26日 9時) (
レス) id: 0317dce8be (このIDを非表示/違反報告)
浬(プロフ) - 仲直りはチョコの味キュンキュンしました！今回は昔のいがさくのお話ですかね？わくわくします(^ ^) (2021年2月22日 13時) (レス) id: 2a1dda425f (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 爽さん» コメントありがとうございます。キャンパスライフ早く書きたいのですが、DKたちを卒業させるのももったいなくて悩ましいです(笑) (2021年2月13日 21時) (レス) id: d37291436f (このIDを非表示/違反報告)
真澄(プロフ) - 浬さん» お久しぶりです！コメントありがとうございます。雪の降る日はけっこう直感で書いたのですが気に入って頂けて良かったです♪今回のも楽しんでもらえたら嬉しいです！ (2021年2月13日 21時) (レス) id: d37291436f (このIDを非表示/違反報告)
爽 - またまたお久しぶりです。仲直りはチョコいいですね！更新待ってますね。大光君とのキャンパスライフも楽しみです(^^) (2021年2月11日 11時) (レス) id: 5e1c872bd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真澄
| 作者ホームページ：https://twitter.com/masumi_chu
作成日時：2021年1月15日 16時
