85 気まずい ページ35
柳「段差に気をつけろ、後もっとこちらに体重をかけていい」
蓮二が、私を支えていない方の手でのれんを上げてくれる。
『あっごめんありがと………きゃっ！？』
ドン！
2人で外へ出た瞬間、誰かの肩がぶつかった。
『ご、ごめんなさ(幸「ああ、すみませ……あれ？Aさんと、…蓮二？」
『あっ』
私の肩にぶつかったのは、
恐らく飲み物を買いに来たのであろう精市だった。
柳「…！精市」
彼の目の前には、肩を組んで女湯から出てくる私たち。
よりによってこんな時に…
あまり大事にはしたくなかったんだけど。
幸「えーっと、2人は何を？」
後ろの「女湯」の文字と、その中から出てきた蓮二を交互に見ては怪訝な顔をしている。
変な誤解を招かないためにも、
何か言われる前に一から説明しないと…
『あ、精市…実はさっきね』
私が話を始めた瞬間。
精市は私の足の傷に気づき、途端に私の言葉を遮った。
幸「！！ねぇAさんその傷、どうしたの」
私の足元に近づいてまだ微かに流れていた血を袖で押さえながら、心配そうな顔をして私を見上げた。
『あぁー…えっと、話すと長くなるから…あっ、じゃあこのまま精市も部屋に来てくれる？そこで説明する。いいよね蓮二』
柳「……別に構わない」
隣を見たその瞬間、こころなしか蓮二が決まりの悪い表情を浮かべた気がした。
幸「わかった。それじゃあこのまま向かおうか」
そして3人でエレベーターに乗り込み、
16階へと向かった。
＊ ＊
『それでね…』
幸「うん」
説明を聞きながら相槌を打っていた精市の顔が、
話が終盤になるにつれて、みるみる曇ってゆく。
幸「…それは全くもって笑えない話だね。近くに蓮二がいてすぐに助けを呼べたのも、カメラを取り返せたのもそれはまだ良かったけど。警察は呼ばなくてもいいのかい？」
『うん、そこまでする気力ももう無いかな…。ただ跡部には報告させてもらう。やっぱりそれなりの処分は受けてもらいたいし。カメラを取り返してくれた蓮二も報われないしね』
幸「そっか…それなら俺からは口外しないでおくよ。
Aさん、本当に大変だったね。ごめんね、奴らの変な行動に早く気付けなくて」
『え、精市が謝る事じゃ』
幸「いや…」
精市は私の傷口に手を添え、切なそうな顔をして黙り込んだ。
『えーっと…』
気まずい雰囲気に狼狽える
柳「…話は済んだ。もうそろそろいいか、精市」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キャメル(プロフ) - まゆさん» まゆさん、ありがとうございます！(;_;)その言葉で私もお仕事頑張れるし、ほんとに嬉しいです…これからもどうぞよろしくお願いします^_^ (2022年10月31日 21時) (
レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - おもしろいです。更新楽しみに仕事頑張れます(o^^o) (2022年10月31日 19時) (レス) @page49 id: d99fc6d444 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - 小筆さん» 初めまして、小筆さん！！そんなそんなありがとうございます！！そういうふうに言って頂けるだけで本当に嬉しいです(^^)これからも楽しんでもらえる様に頑張るので見守って頂けたら嬉しいです❣️ (2022年10月18日 22時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
小筆(プロフ) - いつも見させて頂いてます！大好きなお話なので、これからも頑張って下さい！ずっと応援してます！ (2022年10月18日 21時) (レス) id: fe225f18e6 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - こかさいだーさん» 詫びようとする幸村くんいいなと思って書いたので反応してくれて嬉しいですw(^ ^)！！！！詫びすぎず詫びなすぎず頑張ってほしいですね🤭 (2022年9月29日 15時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：研究員 | 作成日時：2022年9月21日 20時
