【テニプリ 】 仕事をしてただけなのに… 2

83 【柳】歯止めが効かなくて ページ33

〜貴方Side〜


やっと息が整って、蓮二に体を預けたまま言葉を発した。


柳「……は？」


私の言葉を聞いた蓮二の目つきが変わる。
さっきまでそれとなく私の背中を撫でていた彼の手はピタッと止まり、硬直した。



『ねぇ…どうしよ…撮られたの、このまま出回ったりしたら…』



僅かに冷静さを取り戻した私は、今後起こりうる最悪の事態を考えてしまいどんどん血の気が引いていく。


柳「まだ連中は中にいるのか」


『え？』
　

いきなり蓮二が立ち上がった。


柳「A、確かお前以外に女性はいなかったな？」


『う、うん』


どういう事かと沈黙していると、蓮二は少しはだけた自身の浴衣をキュッと締め直し、なぜか3本もあるミネラルウォーターのうち1本を開け私の傷口を惜しげもなく洗い流した。


『！？いてっ…』


そして持っていたハンカチを傷口に添えながら、
「このまま自分で抑えていろ」と私の手をハンカチに当てがわせる。

茶色く染まった水がボタボタと床に滴った。



『あ、ありがとう…』

　

柳「応急処置しかできずにすまないな…A、少々切ないだろうが、少しの間ここで待っていてくれ。すぐに戻る」


ソファの脇に常備されているブランケットを私の肩にかけると、
蓮二は女湯と書かれたのれんの中へ躊躇なく入って行った。




＊




〜柳Side 〜

奥に入ると、早速誰もいないはずの脱衣所の奥から何やら話し声の様なものが聞こえた。



？「お前らこれ見てみろよ！」

?「シー！静かにしろって」



柳「…む」


今すぐにでもAを苦しめた輩に制裁を加えたかったが、
一旦グッと堪えて耳を澄ます。



？「な、なぁこの関係者カードあのマネのやつだよな？」

？「…は？うわマジだ。あの子中学生じゃなかったのか？」

？「やべえよ、社会人って事だろ？さ、裁判とかされたら…」



その何とも浅はかな内容の会話から、犯人達であると確信する。

Aのロッカーを漁っているのか？



俺は迷わず奥へと進み、奴らの手前で目の前のロッカーをバン！と叩いた。


「「！？」」


目の前の3人の男がこちらを振り向く。
こいつらは確か氷帝の…一般部員だったろうか


柳「お前ら…自分達が何をしたかわかっているのか？」


部員A「な、なんでアンタがこんなとこいるんだよ！？」


目を丸くしている男の手には、Aのものであろう下着が乱雑に握られている。


柳「…！！」


その時、俺の中でプツンと何かが切れた。

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