80 気のせいじゃない ページ30
女湯と男湯は違うフロアにあり、女湯の向かいには誰でも利用できる自動販売機と休憩コーナーが設けられていた。
そこで緑茶をひとつ購入してから、のれんをくぐってみる。
辺りを見回せど、やはり先客は誰も見当たらない
『うわ。私以外に女の人いないからまさかとは思ったけど…
こんな広い所がマジで貸切だなんて、最高かー!?』
テンションが上がった私は衣類をロッカーへぶち込んで、
誰もいないのを良い事にロッカーの鍵もかけずそのまま大浴場へと駆け込んだ。
*
『わ…シャンプーもトリートメントもめっちゃ良いやつ』
普段使わない様なアメニティに興奮しながらも丁寧にメイクを落とし、ボディーソープで泡立てた泡で身体を満たしていく。
ハーブの様な香りが疲れた私を更にリラックスさせた。
…カシャッ
『へ…?なんか音した?』
シャワーの音にまぎれて、何かの音が聞こえた気がした
辺りを見回すが特に変わりは無い。
『?掃除の人でもいるのかな』
豪華な風呂に興奮していた私は、女性の業務員でもいるのだろうと、それほど気に留めることも無く洗い終わった身体を一応タオルで隠しながら露天風呂へと向かった。
*
外に出ると濡れた体に心地よい風が吹き、
目の前には白くいい香りの湯気が立ち込めていた
『はぁぁ最高。では早速…』
ゆっくりと体を温泉に沈めると、体の底からジュワッと快感が広がってゆく。そのまま頭を岩にもたれさせ、綺麗な空を見上げた。
『(それにしても、今日のブン太どうしたんだろう)』
あまりにも元気がない様子だった彼をふと思い出す。
午後のドリンクを渡した時のあの微妙な表情…私なんか変なことしちゃったかな?
明日時間があったら…聞いてみようかな。
『……』
なんて物思いにふけながら温泉を堪能していた、その時。
…カシャ!!
?「っ!お前、さっき消音にしろって…」
?「いやだから音は消せねぇんだって!」
『!?』
確実に鳴り響くカメラの様な音と、
コソコソと聞こえる誰かの争う様な男数人の話し声。
『な……何!?』
身の危険を察知した私は本能のまま勢いよく立ち上がり、
すぐさま脱衣所へと走る。
怖い、怖い…どうしよう。
さっきの音って、盗撮…?
『…っきゃ!?』
ズシャッ
内風呂の淵を走った時、温泉特有の成分でヌルヌルとした液体により転んでしまった。腕と膝から血が滲んで激痛が走る。
…ああ、もう最悪だ。
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キャメル(プロフ) - まゆさん» まゆさん、ありがとうございます!(;_;)その言葉で私もお仕事頑張れるし、ほんとに嬉しいです…これからもどうぞよろしくお願いします^_^ (2022年10月31日 21時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - おもしろいです。更新楽しみに仕事頑張れます(o^^o) (2022年10月31日 19時) (レス) @page49 id: d99fc6d444 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - 小筆さん» 初めまして、小筆さん!!そんなそんなありがとうございます!!そういうふうに言って頂けるだけで本当に嬉しいです(^^)これからも楽しんでもらえる様に頑張るので見守って頂けたら嬉しいです❣️ (2022年10月18日 22時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
小筆(プロフ) - いつも見させて頂いてます!大好きなお話なので、これからも頑張って下さい!ずっと応援してます! (2022年10月18日 21時) (レス) id: fe225f18e6 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - こかさいだーさん» 詫びようとする幸村くんいいなと思って書いたので反応してくれて嬉しいですw(^ ^)!!!!詫びすぎず詫びなすぎず頑張ってほしいですね🤭 (2022年9月29日 15時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:研究員 | 作成日時:2022年9月21日 20時