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「お、全員揃ったな」
食堂へ着くと、どうやら私待ちだったらしい。
明日からの予定確認を終え、グループは解散となった。
『…ゾム、ちょっと話いい？』
「ええけど、どしたん？」
私から声を掛けてきたことに驚いたのだろうか。
彼は少し嬉しそうに笑ってこちらに向き直ってくる。
どう切り出したものか。暫く言葉選びに黙り込んでしまう。
「…？もしかして、足、痛いん？」
心配そうに顔を覗き込んでくるゾム、いつもの少し迷惑な行動と相反するソレに僅かに戸惑う。
「キツイなら、ぺ神先生探してこよか？」
『いや、そういうわけじゃ…』
いざ、キョトンとしたように首を傾げる彼を目の前にすると、先ほどまでフツフツと煮えたぎっていた怒りは思いの外萎んでいく。
グッと緊張で汗ばむ拳を握りしめ、歯切れ悪くその話題を切り出した。
『…わざとなの？』
「…何が？」
『小春ちゃんと、悠人を同じチームにしたこと』
小春ちゃん、という名前に彼はあまりピンと来ていないようだった。
一度は緩くなった怒りも、思い返せばまた沸騰してくるもので。
『谷村小春ちゃん、一年生の子。悠人と、仲の良い』
「あ、浮気相手の子やんな？」
『その子が、悠人と同じチーム1だったの』
驚いたように丸められる翡翠色の瞳を見て、もしかして偶然なのかも知れない。という気持ちが胸を掠めた。
けど、今の私にそれを深く考える余裕はない。
コップから水が溢れるように湧き出る感情を、どこにぶつけたら良いのか。
『…そんなに楽しい？私が困ったり、傷付いたりしてるの』
「いや、あの女の子が居るなんて俺知らんくて、」
『そんな偶然、重なるなんて中々ないよ』
遮るような私の声に、ゾムは戸惑うような表情を見せる。初めて見た、余裕のなさそうな顔。
彼の様子を見れば、何が正解なのかは一目瞭然なのに。
これはただの、偶然に過ぎないって、わかってるのに。
『そんなに私のことが気に食わない？ただでさえ傷付いてる人の気持ち踏みにじって、何が面白いの。生徒会役員なら、何でもしていいわけ…？』
「A、話を…」
「遅くなってすまん」
別の声。
入り口に目をやれば、「あれ、取り込み中やった？」と首を傾げるトントンさん。
『…いえ、大丈夫です。私、帰りますね』
ゾムの制止も聞かず、半ば飛び出すように食堂を後にする。
気がつけば目からは涙が溢れていて、あぁなんて情けないんだろう。
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悠(プロフ) - 自分が設定してた自分の名前と彼氏の名前が一緒でややこしい事になってましたw奇跡。小説めっちゃ面白いです (2021年5月19日 23時) (
レス) id: 7e4efb4011 (このIDを非表示/違反報告)
ゆだ - 面白いですね (2021年3月1日 17時) (レス) id: e2d5e79f0c (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - コメント失礼します。すごく面白いです！続きが気になるので更新いつまでも待っています！ (2021年2月2日 21時) (レス) id: 4b52fa3010 (このIDを非表示/違反報告)
カコ(プロフ) - コメント失礼します！このお話大好きです！更新待ってます！ (2020年11月3日 0時) (レス) id: e319902130 (このIDを非表示/違反報告)
ゴミ箱 - とてもいいお話ですね、読んでいて楽しかったです。更新はいつまでも待っています。頑張ってください！ (2020年8月16日 10時) (レス) id: c162b9accc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かまぼこ | 作成日時：2020年3月27日 22時
