【 FGO 】大地を舞い飛ぶ蝶の様に。【 短編集 】

▼ 幻想と空想【 ネロ 】 ページ17

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＿＿＿ふと、目が覚めた。
まるで旧い夢を見ていたような、そんな感覚だ。

よく見ると、此処は召喚ポイントの前である。＿＿もしかして地べたに寝転びながら眠っていたのだろうか。顔を見上げると少しだけ体の関節が痛んだ。どうやら数時間以上、こうしていたらしい。

「やっと目が覚めたな、我が奏者(マスター)よ！魘されていた様だが、夢見が悪かったのか？」

目の前で自信満々に胸を張る、赤い礼服の少女。＿＿ほっと、心の底から安心の息が漏れた。
金髪の髪。華奢な体。共に数多の死闘をくぐり抜けた、大切な彼女の名は___。

彼女の名は、なんと言うのだろうか。

覚えているはずなのに、思い出せない。
これではまるで、記憶喪失では無いか。

「奏者？どうしたのだ？」
目の前の美しき少女は、此方を見て心配の情を向けてくれている。その視線には親愛の情も篭っている様で、なんだかむず痒くなる。

____...いつの日か。
明確な日日(ひにち)は覚えて無いけれど忘れられない、かけがえのない日。

「____ 余は至高にして至上の名器、剣の英霊(セイバー)＿＿＿＿そなたのサーヴァントだ！」

見目麗しき英霊は数あれど、綺羅星の剣、繁栄の花はただ一輪。あらゆる才を白指に乗せ、咲き誇るは薔薇の皇帝。その剣戟は音楽神(ミューズ)の調べの如く、鞴の評価は瞬きなれど、導となって主人の道を切り拓く。

自信に満ち溢れた声と輝かしい笑顔と共に現れたのは、私が"初めて"召喚したサーヴァントだった。今でも、しっかりとわかる。彼女の名前は_______



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