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「……どうしたんじゃマスター、」
それなのに、彼は私を優しく抱きしめて落ち着かせようとしてくれる。そんな事をしてくれる優しい声に、温もりに、堪えていた涙がどっと押し寄せてきて。
気づいたら自然と涙が溢れていた。
「以蔵さんが、居なくなっちゃ、うのがっ怖いの。だから、そうなる前に区切りを、つけたくって、」
それなのに、こんな事をされてしまってはずっと居たいと思ってしまう。彼の温もりと愛情と優しさに溺れて、私が死んで朽ちるまでずっとこのままで居たいと、心の奥底から思ってしまう。でも駄目なのだ。彼は現時点ではもう_____ 居ない存在の筈、なのだから。
「…… 儂は、おまんを置いて何処にも行かんぜよ」
「ほん、と?」
「やかましいちや、 わしゃ嘘はつかん!」
わかってる。以蔵さんにもそんな確証がないことくらい。でも彼は私を安心させようとしているのだと思うと泣き腫らした後でも思わず頬が緩んだ。
「…なんじゃあマスター、泣いたり笑ったり。おまんは表情がコロコロ変わって見てて飽きんぜよ」
「ふふ、そんな私の表情を変えてるのは以蔵さんなのにね。」
「……そうじゃか。」
そう言って、また優しく私を抱き締めてくれる彼を見ると、甘えたくなってしまう。マスターになるべきの条件である絶対事項である禁断の掟を犯しても、別にこんな関係でもいいんじゃないか、なんて思ってしまう私は、矢張り単純なのだろうか。
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愛里(プロフ) - Ratte*らてさん» らてさんはじめまして〜、さっそくですが…リクエストいいですか?孔明先生の話描いて欲しいんですけど…ダメですか? (2020年3月1日 22時) (レス) id: 95c5af7e07 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - ひええ〜っ(;ω;)、恐縮です…そう言われるのが一番嬉しいです…。はい!自分のペースで出来るだけ早めに更新出来るように頑張りますね…!有難う御座います(´>ω<`) (2019年6月25日 22時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - とってもすきです!ご無理のなさらず自分のペースで頑張ってください!! (2019年6月25日 19時) (レス) id: f04a9b22a1 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - エリさん» 嬉しいお言葉を有難う御座います!リクエストも大変有難い限りです!!!、リクエスト早速書かせていただきますね! (2019年5月3日 11時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
エリ(プロフ) - とても面白いです、続き楽しみにしてます!リクエストなのですが、エルキドゥで愛してるゲームお願いできますか? (2019年5月3日 0時) (レス) id: 5baed310b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ratte*らて | 作成日時:2019年4月8日 0時